弁護士費用の相場まとめ!基本の費用5種とケース別の着手金・報酬金

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投稿日時 2019年03月27日 18時26分
更新日時 2019年03月28日 10時58分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 弁護士に依頼するときの費用目安を知りたい人

  • どのようなケースだと弁護士費用が高額になるのか気になる人

  • 弁護士費用をかけずにトラブルを解決する方法を知りたい人

はじめに

法的なトラブルを解決してくれる弁護士。しかしそのときに気になってくるのは弁護士費用です。どんなトラブルに対し、どの程度のお金がかかってくるのでしょうか?

この記事では、様々なケース別の弁護士費用の内訳や、おおまかな相場についてご紹介していきます。弁護士に依頼する前の参考としてみてください。

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1.弁護士に依頼するとどれぐらいかかるの?必要な費用と相場



そもそも、弁護士に支払う費用にはどのような種類があるのでしょうか。

代表的な5種類について、下記の通りまとめました。

種類 内容
①相談料 法律相談で発生。1時間5000~1万円ほど
②着手金 依頼時に払うお金。10~40万円ほど。請求金額などにより変動。
③報酬金 成功報酬。20~100万円ほど。請求金額などにより変動。
④実費 交通費など、問題解決のためにかかった費用。
⑤日当 弁護士の時間を拘束することへの手当。1日10万円程度

それぞれ詳しく解説していきましょう。

①相談料

法律的な観点からトラブルの内容を解説・アドバイスしてもらう法律相談で発生します。

初回相談時には無料で行ってくれる事務所もあるので、費用を抑えたいときはインターネットなどで探してみましょう。

また、一定の収入額以下などの条件に合っている場合は、法テラスの無料相談を受けることもできます。

ウェブサイトで条件を確認してみてください。

②着手金

弁護士に依頼する際に発生する費用です。いわば前払いの費用であり、たとえ依頼人の望む形でトラブルが解決されなくても、あとから返金してもらうことはできません。

費用は依頼の内容や相手に請求する金額によって変動しますが、最低でも10万円以上はかかると思ってください。

③報酬金

トラブルが解決した際に支払う、いわば成功報酬です。多くの場合、相手から支払われた報酬の〇%…という形での計算になります。

この割合も金額によって大幅に変わってきますが、おおむね20~100万円ほどの幅を見込んでおくとよいでしょう。

④実費

トラブル解決のために必要な行動や手続きによって生じた費用です。

たとえば、裁判所までの交通費や宿泊費用、郵便代などがこれにあたります。

いったん弁護士が立て替えていることもあれば、「預かり金」としてあらかじめ一定額を弁護士に支払っておき、トラブル解決後に清算することもあります。

⑤日当

事務所から弁護士が離れている間の費用です。弁護士の時間を拘束してしまうため、「1日分」「半日分」の手当を支払う形となります。

たとえば、裁判所で裁判を行っている間や事務所から裁判所までの移動時間などがこれにあたります。


これまで紹介してきた費用のうち、④実費および⑤日当に関しては、あらかじめ着手金に含んでいたり、その都度追加で支払う形としていたりと、事務所によってさまざまな扱いを定めています。

そのほかにも、書類を作成する「手数料」や、弁護士の拘束1時間ごとに手当てを支払う「タイムチャージ」(時間制報酬)などといった費用が発生する場合もありますので、着手金を支払ったあとに追加で報酬が発生するかどうかなど、あらかじめ具体的に弁護士に確認しておくようにしましょう。

補足:「着手金0円」は本当にお得?

一部の弁護士事務所のなかには、着手金無料をうたっているものもあります。

20万円ほどかかる費用が無料になるのは一見するとお得に見えますが、安心は禁物。着手金以外の手数料や日当といった名目で結局費用が発生したり、着手金が無料のぶん、報酬金が高く設定されている場合があるからです。

保険で弁護士費用を相殺できる交通事故の損害賠償請求や、手続きが少ない過払金請求といった例外ケースを除き、実質的に着手金を支払う場合と同程度の費用がかかるケースが大半。

目先の「無料」という言葉に惑わされず、実質的な費用がどの程度かかるのか、事前にしっかりと確認するようにしてください。

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2.トラブル別!弁護士費用(着手金・報酬金)の相場と依頼のメリット



弁護士費用のうち大きなウェイトを占める「着手金」と「報酬金」。

その金額は、相手に請求する金額のほか、依頼するトラブルの内容によっても大きく変わります。

この章では

①日常で巻き込まれやすいトラブル
②家族・親族間で起こる家庭のトラブル
③労働関係のトラブル

に分けてご紹介していきましょう。

①日常生活で巻き込まれやすいトラブル

  • 詐欺事件
    名目 相場
    着手金 無料~10万円程度
    報酬金 取り戻した金額の6~30%

    詐欺事件は加害者の特定が難しいことがほとんどですが、関係機関から情報を教えてもらえる弁護士の「弁護士会照会」を利用することで、犯人を特定できる可能性があります。

    また、警察に「被害届」「告訴状」を提出し捜査を依頼するときに弁護士に付き添ってもらうと、スムーズに手続きを進めてもらえます。

    なお、被害者数が多く、被害額が高額な詐欺事件だと、複数の弁護士が参加・対応する「被害対策弁護団」が結成されるケースも。

    被害者どうしが協力して訴訟を起こす集団訴訟では、被害者どうして弁護士費用を分担したり、証拠を共有したりと、ひとりで訴えることよりも様々なことができるようになります。

    集団訴訟プラットフォームのenjinでは、さまざまな詐欺被害についてのプロジェクトが立ち上がっています。自分が受けた被害がないか探してみましょう。


  • 消費者契約トラブル
    名目 相場
    着手金 5万~10万円程度
    報酬金 返金された金額の16%程度

    「脅されて契約させられた」「嘘を伝えられて契約させられた」といった契約については、法律にもとづいて契約の解除が可能です。

    しかしそのためには、相手が悪質な行為をしていたことを訴訟で立証しなければなりません。その際に、弁護士に力を借りるようにしましょう。

    なお、訪問販売や電話販売といった一部の契約については、クーリング・オフという制度を利用することで、一定期間内であれば弁護士などを介さずに一方的に契約を解除することもできます。

    手続きは個人でも可能ですので、下記記事などを参考に試してみてください。



  • 名誉毀損
    名目 相場
    着手金 10万~30万
    報酬金 獲得できた慰謝料の20%程度

    名誉毀損は、他人が流した悪評によって、自分の社会的立場が悪化することを指します。弁護士に依頼することによって慰謝料を請求できます。

    しかし、悪評がネットなどで行われた場合は、犯人の特定が必要。書き込みのあるサイトの管理人へ情報を開示するよう請求したり、その情報を元にプロバイダへの身元の問い合わせを行うなどの複数の工程が必要となるため、その分の費用がかさみます。

    特に海外のサイト管理人やインターネットサーバーを相手にする場合は、着手金が通常よりも高くなるので注意しましょう。

    詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。



  • 交通事故
    名目 相場
    着手金 0~30万円
    報酬金 0~20万円+賠償金の10%前後

    交通事故が起きた際には、一般的に保険会社が交渉を進めますが、弁護士に相談することで賠償金がより多くもらえる可能性があります。

    交通事故の賠償額には、自分が加入している保険によって決められている金額を基準にする「自賠責保険基準」・「任意保険基準」と、弁護士が過去の訴訟を元に判断する「弁護士基準」の2つがあります。

    弁護士基準のほうが保険による基準と比べて高額になる傾向がありますので、支払額に納得がいかない場合などは依頼するとよいでしょう。

    加入している保険に「弁護士費用特約」がついていれば弁護士費用は一定額まで保険会社持ちになる場合がありますので、利用を検討する際は確認してみてください。


  • 医療ミス
    名目 相場
    着手金 無料~100万円前後
    報酬金 賠償金の30%前後

    医療ミスは原因解明のためにさまざまな調査が必要であり、それぞれで着手金などの費用が発生します。

    たとえば、カルテなどの記録改ざんを防ぐ「証拠保全」には弁護士費用が30~40万円、病院側の医療ミスを調査する「過失調査」には15~20万円。

    さらに、協力してくれた医師への謝礼3~4万円や証拠保全のために写真を撮影するカメラマンの費用など、さまざまな理由で費用を支払う必要があります。


②家族・親族間で起こる家庭のトラブル

  • 離婚問題
    名目 相場
    着手金 20~30万円
    報酬金 20~30万円

    離婚問題では、弁護士がすべての窓口となってくれることが大きなメリットといえます。

    たとえば、夫からDVやモラハラなどの被害にあっている場合、話し合いでも夫とは会いたくない女性がほとんどでしょう。

    そうした場合、弁護士がすべての窓口になり離婚まで担当してくれるため、被害者は安心して自身の生活を立て直したり子供のケアができるはずです。


  • 相続問題
    名目 相場
    着手金 30~50万円
    報酬金 100~180万円

    相続問題では特に、どれぐらいの、どのような遺産が残されているのか、正確に把握しないと遺産分割できません。

    弁護士に遺産内容を調査してもらうとことで正しい遺産内容を確認し、事実確認不足によるトラブルを防ぐことができます。

    また、遺言書が残されていない場合は、誰にどれぐらい分割するべきなのか、親族間で揉めることも考えられるため、弁護士に仲介役になってもらい妥当な分割案を出してもらうのもひとつの手です。

③労働関係のトラブル

  • 残業代請求
    名目 相場
    着手金 5万~20万円
    報酬金 回収した未払い残業代の20~30%

    残業代が支払われていないときは、まず本来ならいくらの残業代が支払われるべきだったのか計算し、会社に請求することになります。

    この計算にはさまざまなルールがあり、支払われていない残業代を正確に割り出すためには、自分の雇用契約や労働状況に応じて複雑な計算を行わなくてはなりません。

    労働問題に詳しい弁護士であれば、正しい未払い残業代を計算でき、さらに弁護士が間に入ることで会社側が素直に未払い残業代を支払ってくれる可能性が高まります。


  • パワハラ・セクハラ
    名目 相場
    着手金 0~10万円
    報酬金 慰謝料の16%前後

    パワハラ・セクハラ問題の場合、相手へ慰謝料を求めるだけでなく、警察に犯罪被害を訴えでることも可能です。

    これらの行動をとるためには、明確にパワハラ・セクハラをされていたとわかる証拠が必要ですが、弁護士に依頼すれば、証拠の集め方などのアドバイスをしてもらえます。

    また、セクハラ・パワハラの損害賠償請求は、個人で会社や相手に支払いを求めることは難しく、「そんなことはしていない」と言い逃れをされるかもしれません。

    弁護士に依頼することで、問題がスムーズに解決する可能性もあるので、まずは状況を説明し、どうすればいいのか相談してみてください。

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3.弁護士費用をかけない方法は?



弁護士に依頼する段階で、やはり弁護士費用が高いと思った場合にそなえて、自分ひとりでも使えて、費用をある程度抑えられる制度が用意されています。

以下、表にまとめました。

①裁判所が提供している制度
少額訴訟 60万円以下のお金を求め、1回の審理で話し合いによる解決を目指す
支払い督促 書類審査のみで行えるが、相手と事実の相違がないことが前提
調停 民事調停家事調停など。当事者双方の合意によって結論を出す
②そのほか公的機関などが提供している制度
あっせん 主に消費者契約や労働問題で使用。話し合いによる解決を目指す
消費者団体訴訟制度 認定団体が消費者に代わって会社側に対し訴訟を起こす
配偶者暴力相談支援センター
(一時保護、保護命令)
暴力被害者が一時避難できる。また、裁判所に接近禁止命令を含む「保護命令」を出してもらうときには、同センターへの相談が必要。

それぞれについてご紹介していきましょう。

①裁判所が提供している制度

  • 少額訴訟

    少額訴訟は、60万円以下の請求額の場合に利用でき、1回の審理で終わる簡易裁判制度です。

    必要な費用は印紙代と切手代のみ。

    たった1回の審理で終わるため、1年以上長引くこともある通常の訴訟と比べれば短期間で解決できます。


  • 支払い督促

    支払い督促は、裁判所に書類を提出することで、支払いが滞っている費用の支払いを求めることができる方法です。

    利用方法が簡単なので使いやすいのですが、これは督促内容に相手が同意していることが前提の制度。

    たとえば、1ヶ月4万円の家賃を3ヶ月滞納している人に対し督促する場合は、相手もその金額を支払っていないことがわかっているので、同意している内容に対して請求することになります。

    いっぽう、相手と慰謝料の額に合意する前に「慰謝料として500万円払え」という督促をすることはできません。


  • 調停

    調停は3人以上の調停委員が紛争解決を行うもので、当事者双方の合意によって結論を出します。

    主に、他人同士で行う民事調停と、夫婦間や親族間で行う家事調停が使われます。

    よく混同されるものとして、当事者同士の話し合いで問題解決を目指す「あっせん」がありますが、調停はあっせんよりも、より法律的かつ難しい問題を扱い、調停委員が積極的に問題解決を行うものです。

②詐欺や労働系トラブルで使えるそのほかの制度

  • あっせん

    あっせんは消費生活センターなどで利用できる、話し合いによる解決の仲介制度です。

    事業者側と一般消費者が争っている場合に利用でき、消費生活センターでは消費者トラブル、労働基準監督署では労働トラブルなどに対応しています。


    ただし、消費生活センターでは個人で解決しづらく、トラブル内容が深刻なときだけに利用できるという基準を設けているため、「あっせんを利用したい」という希望だけでは制度を利用できないこともあります。


  • 消費者団体訴訟制度

    消費者団体訴訟制度は、国が認定している適格消費者団体が消費者の代わりに事業者側に訴訟を起こすことができる制度です。

    この制度では、不適切な広告表現を取りやめるよう差止請求をできたり、複数の被害者の被害回復を求めることができます。

    詳しくは以下の記事で解説しているので参考にしてください。



  • 配偶者暴力相談支援センター(一時保護、保護命令)

    配偶者暴力相談支援センターは、配偶者から被害を受けている人の相談受付やカウンセリング、当事者とその子供を加害者から引き離し保護する「一時保護」など、暴力被害者の保護を行っています。

    特に、接近禁止命令を含む「保護命令」を裁判所に出してもらう際、同センターへの相談実績が必要とされることもあるなど、被害者保護には欠かせない存在です。

    都道府県ごとにセンターが設けられているため、こちらで最寄りのセンターを確認してみてください。


4.まとめ

  • 弁護士費用には、相談料や着手金、報酬金、実費、日当などさまざまな種類の費用が含まれており、それぞれ案件により金額が変動する。

  • トラブル内容や難易度によって着手金・報酬金は大きく変動するため、弁護士に依頼する場合は詳細な打ち合わせと、費用感について相談するとよい。

  • 弁護士費用を抑える制度として、少額訴訟や支払い督促、調停などの裁判所が提供する制度に加え、公的機関が提供するあっせんや消費者団体訴訟制度、一時保護(配偶者暴力相談支援センター)などがある。

おわりに

何かしらトラブルが起きたら、法律の専門家である弁護士に相談してみることが大切です。

費用の支払いに不安がある場合は、分割払いに対応している事務所に依頼してみることもでき、さらに初回相談料は無料としている弁護士事務所も多いので、まずは最寄りの事務所を探してみましょう。


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