パワハラにあたる言葉&行動をチェック!ケース別の確認リストと対策

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投稿日時 2018年12月03日 19時09分
更新日時 2019年04月25日 19時09分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 職場で受けている仕打ちがパワハラかどうか気になる人

  • 自分が部下・後輩にパワハラをしていないか気になる人

  • パワハラの被害にあっていた場合はどうすればいいか知りたい人

はじめに

厚生労働省は、職場のパワハラについて、下記のように定義しています。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」
(引用元:厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」)

しかし実際のところ、パワハラの基準は曖昧です。人間性を否定するようなことを言われても、指導だと思って我慢してしまう人や、逆に指導がパワハラに当たるかもしれないと部下に気を使ってしまう人もいます。

そこでこの記事では、職場での行為がパワハラかどうか判断するためのチェックリストを用意しました。

合わせて、被害者側、加害者側に向けた対処法を載せていますので、働いている中で「これってパワハラなのかな」と思い悩んだり不安になったりしている人は、最後まで目を通してみてください。


1.パワハラチェックリスト10・被害者篇



厚生労働省では、職場のパワハラの特徴を次のように分類しています。

①身体的な攻撃……暴行・傷害
②精神的な攻撃……脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
③人間関係からの切り離し……隔離・仲間外し・無視
④過大な要求……業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
⑤過小な要求……業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
⑥個の侵害……私的なことに過度に立ち入ること
(引用元:厚生労働省「職場のパワーハラスメントについて」)

それぞれのケースについて、具体的にどんな行為がパワハラにあたるのか、チェックリストを作成しました。自分が職場で受けている行為が該当しないかどうか、確認してみてください。

①理由なく叩かれたり、蹴られることが日常的にある
②物を投げられる、机を強く叩くといった威圧を頻繁に受ける
③他の人もしているミスにも関わらず、自分だけ長時間の説教をされる
④職場仲間がいる前で、見せしめのように怒られる
⑤業務に必要なメールが自分にだけ来ない
⑥ひとりでは到底終わらない仕事を押し付けられる
⑦指導を受けていない仕事を突然命じられる
⑧本来の仕事がもらえなくなり、雑務ばかりをやらされる
⑨休日に仕事の連絡が来るのが当たり前になっている
⑩有給休暇を取得しようとすると、使う理由を必要以上に根掘り葉掘り聞かれる

いかがでしたでしょうか。どれかひとつでもあてはまり、かつあなたが精神的な苦痛を受けているのなら、パワハラの可能性があります。

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2.パワハラチェックリスト10・加害者篇



次に、加害者側のチェックリストを紹介します。

明らかな暴力行為などは言語道断ですが、一方で自分が良かれと思ってやった指導方法が該当する可能性もあるので、当てはまるものがないかどうかチェックをしてみてください。

①「他の人なら誰でもできる」と言っている
②些細なミスでも、事あるごとに個別に呼び出して叱責する
③わざと物に八つ当たりしたり、大きな音を立てる
④挨拶されても返さず、会話もほとんどしない
⑤飲み会や社員行事に一人だけ誘わない
⑥ノウハウをあえて教えずに仕事をやらせ、失敗したら叱責する
⑦「まずは自分ひとりでやってみろ」と他人の協力を仰がないように禁じる
⑧罰として飲み物を買って来させる、業務以外の命令をする
⑨部下のプライベートの話を、周りの人にネタとして話す
⑩休みの日に誰と会っているのかなどをしつこく聞く


3.パワハラをしていた&被害にあった場合の対処法



チェックリストを見た結果、自分がパワハラの被害者・加害者だとわかった場合は、どうすればよいのでしょうか?

それぞれのケースの対処法について、詳しく解説をしていきます。

①パワハラの被害にあった場合

パワハラの被害にあった場合は、まず会社に相談して解決を試みましょう。

法律により、会社は労働者が働きやすい職場環境を整えるよう義務付けられています。相談しても改善されなかった事実があれば、のちに専門機関に相談する際や、訴訟の際などに有利となります。

  • まずは証拠を集める

    録音データ病院の診断書などが代表的なものとしてあげられますが、これらに限らず、パワハラに関連しそうなものはすべて残しておきましょう。

    パワハラがいつどこであったのか、どんな内容だったのかを記載したメモも非常に重要な証拠となります。

  • 加害者本人や上司にパワハラの事実を伝える

    ある程度証拠が集まったら、加害者本人や人事部、会社の相談窓口などに「パワハラだ」と伝えてみましょう。加害者によっては、そもそも自分の行動がパワハラだと気づいていない可能性があるからです。

    相手を責めようとすると反発される可能性が高いため、まずは相手の様子を見ながら、「相談する」のがよいでしょう。

    それでも改善が見られない場合は、パワハラをする相手の上の立場にいる上司や、社内の相談窓口に相談してみましょう。会社内によっては管理職や従業員がパワハラ相談員として選任されていたり、人事労務担当部門やコンプライアンス担当部門が担当しているところもあります。

    事情を説明することで、部署異動などによる解決を図ってもらえる場合があります。

  • それでもダメな時は…

    上司だけでなく、企業自体がブラック体質だった場合、会社ぐるみでパワハラの隠蔽を図ったり、パワハラを認めなかったりすることもあるかもしれません。

    その際は第三者機関の協力を得ながらのあっせん(労働者と会社との話し合い)や、加害者や会社を相手取った訴訟を検討してみましょう。

    あっせんは、労働基準監督署が設けている「総合労働相談コーナー」や、全国社労保険労務士連合会が運営している「職場のトラブル相談ダイヤル」などでサポートしてもらえます。

    そのほか、「みんなの人権110番」は、関係機関の紹介や会社への改善勧告をしてくれるだけでなく、悪質な場合は刑事事件として告発してくれる場合もあります。

    また、「法テラス」を通して弁護士を紹介してもらい、訴訟を起こすのもひとつの手です。それぞれに相談する際は、下記の記事も参照にしてください。


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②パワハラの加害者だった場合

加害者のチェックリストで自分の行為が当てはまる場合は、すぐに改善する必要があります。自分がパワハラだと思っていなくとも、相手がパワハラだと申し立てれば降格処分や訴訟に至ってしまうこともあるからです。

しかしパワハラにおびえて指導を怠れば、業績の悪化や会社の存続にも関わってきます。ここではパワハラと言われないようにするための、指導方法のコツを時系列順にご紹介します。

  • 相手に寄り添う姿勢を持つ

    指導とは、会社や管理者に求められている行動が取れない相手を、正しく導く行為です。

    そのためには、まず自分の言うことを相手に受け入れてもらえるように、相手と一緒に改善点を見つけていく姿勢が重要となります。

    相手を尊重する気持ちを持てば、乱暴な言葉や行為など、指導の際に使ってはいけないNGワードも自然とわかるはずです。まずはこうした心構えを持つところからはじめましょう。

    もし具体的なNGワードをもっと知りたい場合は、以下の記事を参照してください。


  • 指導の理由や目的を具体的に伝える

    実際に指導するときは、指導の「理由」と「目的」を具体的に伝えるようにしましょう。

    例えば顧客からクレームをよく受ける部下であれば、

    「理由」クレームが増えると会社の信用を失うため
    「目的」原因を改善し、コミュケーション能力を向上させる

    の二点を指導の前にきちんと伝えましょう。そうすることで、相手も自戒は何をすれば良いのか理解しやすくなります。

    面倒に思うかもしれませんが、言葉にしなければ、意外と相手には伝わらないものです。

    逐一きちんとコミュニケーションをとることで、信頼にもつながるでしょう。


  • 相手が理解してくれたか相互に確認する。

    指導は相手が理解することで初めて意味を成すものです。

    一通り指導を終えたあと復唱やテストを行い、理解できているかどうかの確認をしましょう。一度だけでなく、定期的に確認をするようにしてください。その際も、相手を管理しようとするのではなく、あくまで確認というスタンスをとることが大切です。

    「指導した」と勝手に満足をしないこと
    「相手を尊重すること」

    この二点に注意をしましょう。また、指導の記録を残しておくと、パワハラを申し立てられたときの証拠にできます。


4.まとめ

  • 自分がパワハラの被害者・加害者だと気づいてない場合も。まずはチェックを!

  • 被害に遭っている人はまず会社に相談、ダメなら第三者機関の利用しよう

  • 加害者の人は、「相手を尊重する」適切な指導方法を身につけよう

おわりに

パワハラは、理不尽に相手に肉体的あるいは精神的にダメージをもたらす、悪質な行為です。もし被害にあっていた場合、ずっと耐え続ける理由はどこにもありませんので、早めに第三者に相談をしてください。

もし自分が加害者だと気づいた人は、今からでも改善するのは遅くはありません。気が付かないうちに相手を傷つけることのないよう、正しく部下や後輩と向き合っていく姿勢を身につけましょう。


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