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不動産詐欺の手口を見抜く!売却時にみられる4つの手口とその対処法

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投稿日時 2018年10月02日 18時00分
更新日時 2018年10月02日 16時30分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • あやしい不動産売却の勧誘が来る人

  • 不動産を売りたいので、信用できる業者を見極めたい人

  • 詐欺の被害にあったときの相談先が知りたい人

はじめに

「あなたの不動産を高く買い取りますよ!」

不動産オーナーの方は、ときにこんなセールストークで不動産の売却をもちかけられることがあります。

しかし、不動産の売却は、昔から詐欺師に利用されやすい取引です。売却したつもりが、登記だけ書き換えらえてお金を振り込んでもらえない、手数料などの名目で多額の費用を請求される……といった被害が後を絶ちません。

この記事では、不動産詐欺にはどんな手口があるのか、どうすれば悪質な不動産業者を見抜き、安全に不動産を売却できるのかを解説していきます。


1.不動産詐欺にはどんなものがある?おもな手口と対処法



不動産詐欺の手口には主に、

①不動産登記の書き換え
②手数料詐欺
③原野商法
④悪質な価格操作

の4つがあります。
それぞれの手口について、詳しい内容と対処法を説明します。

①不動産登記が勝手に変えられる

  • 売るはずの土地が気付けば相手名義に

    不動産の売却に関する詐欺で特に多いのは、売却代金の支払い前に不動産登記を勝手に書き換えられてしまうというケースです。

    不動産を売買する際、登記変更に必要な書類(権利証や印鑑証明書など)の受け渡しや不動産の引き渡し(領収書や鍵の受け渡し)といった手続きは、一般的に代金の支払いと同じタイミングで行われます。

    しかし悪質な不動産業者の場合、売却後、お金を売り主に支払うよりも先に、登記変更に必要な書類を提出するよう要求してくる場合があります。

    もし先に書類を渡してしまうと、不動産業者側で勝手に登記変更できてしまうので、代金を支払わずにそのまま逃げられてしまう形になってしまうのです。

  • 売却されると取り戻すのは困難

    売却代金を受け取る前に不動産登記を移転されてしまった場合、どんなケースが想定されるのでしょうか。

    不動産をだましとった不動産業者は、大抵の場合、それをすぐに転売してしまいます。

    もし転売されてしまっていた場合、あなたが不動産を取り戻すためには、不動産を売却した業者だけでなく、転売された土地を購入した人に対しても、所有権を主張しなければなりません。

    しかし、相手が詐欺があったことを知らずに購入していた場合、法律上は購入者には落ち度がないものとみなされ、引き渡しに応じなくてもよいということにされています。

    そのため転売されていた土地を取り戻すには「相手が詐欺を知っていて購入したこと」「詐欺の可能性をうっかり見落としていたこと」を訴訟によって証明する必要がありますが、一般的にこれはとても困難だと言われています

  • 対策:登記変更は必ず代金受け取りと同時に!

    不動産登記の書き換えに関しては、未然に予防するしかありません。

    代金を受け取ってから登記変更を行うのはもちろんですが、当日に引き渡しと支払いがある場合、必ず代金を現金で受け取るのも対策のひとつ。

    小切手や振込証明書などは偽造されていて、あとから振り込まれていないことがわかったり、いざ現金化しようとしたら不渡りで換金できないというケースがあるからです。

    売却金額が大きい場合など、銀行振り込みにせざるを得ない場合は、銀行の応接室で、銀行員立ち合いのもと振り込みや契約をおこなうなど、確実に正しい口座に振り込まれるようにしてください。

    また不動産詐欺の多くは、代金の支払いや登記変更などのタイミングでおこなわれますので、自分で依頼した司法書士に立ち会ってもらうのも有効です。

    不動産業者と司法書士が裏でつながっている可能性もあるため、不動産業者とは違う地域の司法書士に依頼すると良いでしょう。

  • 補足:土地所有者になりすます「地面師」にも注意

    「地面師」とは、不動産の持ち主になりすまし、実際には所有していない不動産を第三者に売りつける詐欺師のことです。不動産の登記変更には所有者しか持っていないはずの書類が必要となるので、簡単になりすますことはできませんが、地面師はグループ単位で書類や印鑑の偽造まで行い、持ち主になりすまそうとします。

    地面師に狙われがちなのは、人が長年住んでおらず、購入希望者が現地確認しても真の所有者がわからないような土地。

    もしあなたがこうした土地を所有している場合、怪しげな人物が出入りしていないかをチェックしてみましょう。また不動産を購入する際にも、購入前に地主に会う、土地の内見を必ず行うなどして、きちんとした土地であるかどうかを確かめてください。

②手数料詐欺

  • 「相場の〇倍で売れる」と言って手数料を払わせる

    不動産仲介業者は、仲介が成立したときに支払う仲介手数料以外に、顧客からお金をとってはいけないと法律で定められています。

    しかし、悪質な業者の中には、広告費や整地代金といった理由をつけて、本来の手数料以外のお金を要求してくる場合があります

    「早く買い手が見つかる」
    「相場の○倍で売れる」
    「すでに買い手が見つかっており、整地をするだけ」


    そんなセールストークで手数料を先に支払わせ、その後連絡がとれなくなるというケースが一般的です。

  • 測量、調査、広告費…「売るための事前投資」に注意

    手数料にありがちな名目として、「測量費」「調査費」「広告費」などがあります。

    しかし、こうした不動産売買の仲介で発生する広告費などの費用は、原則として不動産業者が負担するよう法律で定められているため、本来であれば支払う必要のないものです。

    このような費用を請求してくる不動産業者は、悪質業者である可能性が高いので注意しましょう。

    ただし400万円以下の空き家で、通常の売買の仲介よりも現地調査などの費用が多くかかってしまう場合は、調査費用を含めて18万円までの仲介手数料を請求できるとされています。

    ただし、この場合も業者との契約締結時に双方が合意した場合のみという条件がありますので、契約後に突然要求されても支払う必要はありません。

  • 対策:業者との契約後に別途お金を請求するのは違法!

    不動産売買の手数料詐欺にあわないためには、契約後に売買契約成立時の仲介手数料以外のお金を別途要求するのは違法、という基本をおさえておくことが重要です。もし何らかの費用を請求された場合は、違法ではないかと指摘しましょう。そのうえで不動産業者から納得できる説明がなければ、別の業者に依頼すべきです。

③原野商法

  • 「土地の下取り」を名目にした詐欺が増加

    「原野商法」とは、山林などの二束三文の土地を将来値上がりするかのように装って、高く買わせる詐欺のことです。もともとは1970年代から80年代にかけて問題となった商法ですが、近年になり、この原野商法の二次被害ともいえるトラブルが多発しています。

    特に多いのが、「あなたのもっている土地を高く買い取りますよ」と言って不動産の下取りをもちかけ、売却とセットで新たな原野を買わせるというケースです。

    「節税対策のために売却と同時に他の土地を購入したほうがいい。購入費用のほうは税金の支払い後に返します」などとして、実際には新たな土地を高額で売りつける契約を結びます。

    かつて原野商法の被害にあった人の多くは、現在では高齢化しています。ほとんど価値のない原野を相続する手間を避けるために売却しようとしてだまされてしまったり、土地を両親から相続したタイミングで被害にあうといった事例があるようです。

  • 被害額以上の被害を受ける「税金」問題

    原野商法の2次被害では、だましとられたお金以外にも、税金の問題が発生します

    土地を売却すると、その金額に応じた譲渡所得税がかかるからです。

    実際には新たな土地を購入して損害を受けているにもかかわらず、税金を取られてしまうという二重の痛手となってしまい、問題となっています。

  • 対策:電話やはがきでの売り込みは無視

    原野商法の被害を避けるためには、電話やはがきで売り込んでくる怪しい業者は相手にしないことが一番です。再開発で高く売れる見込みがある、などの甘い言葉にだまされないように気をつけましょう。

    原野商法の手口や解決策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。山林などの土地をもっている方はぜひチェックしてみてください。

    「その土地、買います」に注意!原野商法の手口3つと返金方法を解説

④悪質な価格操作

  • 物件の囲い込み(両手取引)

    「物件の囲い込み」とは、不動産を売りたい人から不動産売買の仲介を依頼された業者が、物件を買いたい人を自社で見つけられるまで、わざと売れ残り物件にしてしまうことです。

    不動産売買の仲介は、売主と買主のそれぞれを別の不動産業者が仲介する「片手取引」と、売主と買主の両方を同じ不動産業者が仲介する「両手取引」があります。両手取引の場合、売主と買主の両方から仲介手数料をもらえるため、不動産業者にとっては両手取引のほうが利益は大きくなります。

    物件の囲い込みがおこなわれる理由は、まさにここにあります。片手取引で物件を売却するよりも、自社で買主を見つけて両手取引にしたほうが、売却価格が多少下がっても手数料収入を増やせるからです。

  • 違法ではないが、悪質な販売方法

    日本の法律では、両手取引自体は違法ではありません。両手取引にできる物件のほうが手数料収入は増えるので、不動産業者が熱心に買主を探してくれるというケースもあります。

    しかし高く買ってくれる人が現れたのに、他の不動産業者経由で問い合わせてきたので勝手に断ってしまうというようなケースは、悪質な販売方法といえるでしょう。こうした囲い込みを避ける方法を考えるにこしたことはありません。

  • 対策:複数社に依頼するか、片手取引(売却のみ)も検討する

    囲い込みの対策としては、複数の不動産業者に仲介を依頼する(一般媒介契約)という方法が一般的です。不動産業者にとっては、売主を仲介できる業者が他にも存在するため、物件を囲い込むことができなくなります。

    また不動産業者によっては、「両手取引はしません」と宣言しているところもあります。数はあまり多くありませんが、そういった業者に依頼するというのもひとつの手です。

    ひとつの不動産業者のみに仲介を依頼する(専任媒介契約)場合は、業者が不動産を囲い込まずにきちんと営業活動をおこなっているのか、定期的に確認するようにしましょう。


2.怪しい不動産業者を見極める!3つのチェックリスト



不動産詐欺にあわないようにするためには、不動産業者選びが重要です。怪しい業者を見極めるための3つのポイントを解説します。

①きちんとした業者かどうかをチェック

  • 国土交通省の検索システムを利用する

    宅地・建物の取引を仲介する業者は、宅地建物取引業の免許をもっていなければなりません。国土交通省では、宅地建物取引業者を検索できるシステムを公開していますので、業者名で検索して実在する業者かどうかを確認しましょう。

    検索結果画面で業者名をクリックすると、所在地や最初に免許を取得した年月日などの詳細を確認できます。登録されていれば絶対安全とは限りませんが、参考にしてください。

  • 国土交通省のネガティブ情報等検索システムを利用する

    国土交通省が宅地建物取引業者に対して過去におこなった行政処分を検索できます。事業者名の欄に調べたい業者の名称を入力して検索してみましょう。行政処分を受けたことのある業者は利用しないほうが安全です。

  • より詳しく知りたい場合は

    各都道府県庁では、宅地建物取引業者や不動産取引に関する問い合わせを受け付けています。業者についてより詳しく調べたい場合は問い合わせてみると良いでしょう。問い合わせ窓口の一覧はこちらのページで確認できます。

    宅地建物取引業免許(知事免許)に関する窓口一覧

    業者についての相談だけでなく、不動産取引全般の事前相談を受けつけている都道府県庁も多くあります。

    また国土交通省の地方整備局でも、宅地建物取引業者に対する監督処分情報などを掲載しています。不動産業者の本店所在地のある地方整備局を確認しましょう。各地方整備局のウェブサイトや連絡先はこちらのページで確認できます。

    宅地建物取引業免許(大臣免許)、マンション管理業登録、住宅宿泊管理業登録、賃貸住宅管理業登録に関する各種申請等の窓口一覧

②土地の価格をおおまかに知っておく

  • 国土交通省のサイトで過去の取引価格がわかる

    不動産詐欺では、相場とはかけ離れた価格で取引を持ちかけてくることが多いので、相場を知っておくことも重要です。過去に近くの土地や建物がどのくらいの価格で売買されているのか確認して、だいたいの相場を把握しておきましょう。

  • 複数の業者に価格査定を依頼する

    参考になりそうな過去の取引がない場合は、複数の業者に価格査定を依頼してみましょう。提示してきた価格の平均が大まかな相場ということになります。

    他の業者よりも極端に高い、あるいは安い価格をつけてきたのに、価格の根拠があいまいな業者には要注意です。

③仲介手数料が適正かどうかを確認する

売買契約が成立したときに不動産業者に支払う仲介手数料は、法令によって上限金額が定められています。この上限を超える金額を要求してくる業者は悪質な業者ですので、利用してはいけません。

仲介手数料の上限金額の算出方法は以下のルールにもとづいて決められています。(全て消費税別)

  • 取引額のうち、200万円以下の部分

    売買価格の5%以内。

  • 取引額のうち、200万円~400万円以下の部分

    売買価格のうち200万円を超える部分については、売買価格の4%以内。

  • 取引額のうち、400万円以上の部分
    売買価格の3%以内。

これらの額の合計が手数料の上限額となります。

たとえば、取引額が300万円の場合は、
(200万円×5%)+(100万円×4%)=14万円

取引額が520万円の場合、
(200万円×5%)+(200万円×4%)+(120万円×3%)=21万6000円

となります。

ただ、これらはあくまで上限金額であり、必ずしもこの額で請求する必要があるわけではないため、注意が必要です。


3.もし被害にあってしまったら……相談先3選



一般社団法人 日本不動産仲裁機構

不動産取引に関するトラブル解決のため、
  • 専門家による状況分析
  • 弁護士による法律相談(初回45分のみ無料)
  • 裁判によらない仲裁(ADR)
などを受けつけている機関です。

機構のホームページの申し込みフォームに連絡先や相談内容を入力して送信すると、後日連絡がくるという流れになっています。

②消費者ホットライン

全国の消費生活センターは、詐欺による被害や消費生活に関するトラブル全般の相談を受けつけて、解決のためのアドバイスや相手との交渉をおこなってくれる機関です。消費者ホットラインに電話すると、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口につながります。

  • 受付時間:基本的には平日9時~17時、土日10時~16時(地域によって異なる)
  • 電話番号:188(局番なし)

③法テラス

法的トラブルの相談窓口として、国が設置している公的な機関です。経済的に余裕がない人のために、無料法律相談や弁護士の紹介、弁護士費用の立て替えなどのサービスを提供しています。

相談は電話のほか、メールでも受けつけています。

  • 受付時間:平日9時~21時、土曜日9時~17時
  • 電話番号:0570-078374


4.まとめ

  • 不動産詐欺には、①登記を無断で書き換え ②手数料詐欺 ③原野商法 ④悪質な価格操作の4つがある

  • 登記変更は代金の支払いと同時におこなうことが重要

  • 仲介業者が契約後に手数料以外の料金を請求するのは違法

  • 土地の下取りを提案してくる新たな原野商法には要注意

  • 不動産業者の情報は、国土交通省のホームページや各都道府県庁に問い合わせることで調べられる

  • だまされないためには、周辺の土地価格の相場や仲介手数料の上限を知っておくことも大切

おわりに

不動産詐欺の手口や、悪質な不動産業者の見分け方について解説しました。

不動産売買では多額のお金が動きますので、詐欺業者に狙われやすいです。被害にあわないため、不動産業者の情報をしっかり調べてから取引をおこなうようにしましょう。


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