この記事は以下の人に向けて書いています。
- クーリング・オフの申し込みをしたいが、方法がわからない人
- クーリング・オフの書面やハガキの書き方ってどうすればいいの? と悩む人
- クーリング・オフをする時は、何に注意すればいいかわからない人
はじめに
「クーリング・オフ」とは、電話勧誘や訪問販売などで購入した商品やサービスを、一定期間内であれば無条件で解約・返品できる制度のことです。
この制度を利用できる場合は、仮に業者側が契約違反を訴えたとしても、解約費用や違約金を支払う必要はありません。
この記事では、クーリング・オフ制度の適用基準や具体的な利用ステップ、また相手業者が解約を拒否してきた場合の対処法など、クーリング・オフを利用するために必要な基礎知識について詳しく解説をしていきます。
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1.その商品、クーリング・オフできる?まずは契約内容をチェック!
一口に「クーリング・オフ」と言っても、確認しなければいけないことは様々。まずはクーリング・オフ前にチェックすべきことを順番に見ていきましょう。
①その商品やサービス、「クーリング・オフ期限」はいつまで?
クーリング・オフには、
サービスや商品の契約や購入から一定期間の「期限」があります。いつまでも解約ができるわけではありません。
詳細な期限は契約の内容により異なるので、まずはあなたがクーリング・オフをしたいものはどれに相当し、どのくらいの期間が必要なのかを見極めましょう。それにより、手続き書類の準備などにかけられる時間も違ってきます。
期限は
「8日、10日、14日、20日」の区分があり、例えば英会話スクールやパソコン教室、エステティックサロンは契約書面を交付した日や購入した日(いずれも当日を含む)から8日間、マルチ商法やネットワークビジネスの場合は20日間などとなっていますので、手続きが間に合うよう注意しましょう。
特に郵便物は消印やポストの投函日が重要になってきます。クーリング・オフ期間は、契約した日を一日目と数えるため、うっかり期限を過ぎてしまった場合、せっかくのクーリング・オフが難しくなる場合があるのです。
そうすると、契約書の不備の確認、錯誤(勘違い)にもとづく契約解除といった、クーリング・オフ制度以外の法律の適用などで対応することになり、手間や費用が大きくなってしまいます。
日数の数え方など、もっと詳しい内容を知りたい人は、下記の記事も参考にしてみて下さい 。
クーリング・オフ期間が一目でわかる!早見表と過ぎた場合の対策3選
②その契約、そもそもクーリング・オフできる?
残念ながら、
実は「クーリング・オフができないもの」もあります。
まず、クーリング・オフ制度は、個人消費者を守るためのもの。適用できるのは
「個人と事業者との取引」に限られます。
ですので、たとえば会社同士での契約といった、
事業者同士の取引はこれに当たりません(ただし、事業者名義でも使用者が個人の場合は認められることはあります)。
またこの制度は不意打ちでの訪問販売や電話による勧誘、詐欺などに騙された人の救済が主な目的となっているため、「自分の意思で購入や申し込みをしたかどうか」というのもポイントとなります。
たとえば、下記のものはクーリング・オフすることができません。
・自分の意思で消費してしまった消耗品の使用済みぶん
例:健康食品、布、靴、化粧品、衛生用品(石けん、洗剤、歯ブラシ、コンドームや生理用品)
・乗用車(自動車・バイク)
購入、レンタカー、中古車も含みます。自動車は販売店に足を運び、時間をかけて購入するものとされているため、突然の訪問販売での押し売りなどのケースが考えにくいためです。
・自分の意思で購入したもの
自宅に業者を呼ぶ、店舗に直接行って申し込みや購入をした場合は保護対象となりません(アポイントメントセールスやキャッチセールスの場合を除く)。このなかには、
ウェブサイトやカタログなどによる通信販売も含まれます。ネットショッピングをするときは特にこの点を気をつけましょう。
・エステ、学習塾または家庭教師、結婚相手紹介サービス、語学やパソコン教などで、短期や少額(税込5万円以内)の契約かつ、キャッチセールスや電話勧誘などではない場合
・訪問販売であっても金額が3000円以内で、現金で支払った場合
・電気・ガス・熱供給、葬儀の手配の場合
・消費者が海外に住んでいる場合
このほか、届いた商品の故障や破損、交換はクーリング・オフとは別件になりますので、個別に連絡を取りましょう。
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2.クーリング・オフをしてみよう!手続きフローチャート
それでは、実際にクーリング・オフをするにはどうすればいいのでしょうか?
具体的な手順を見ていきましょう。
まずクーリング・オフ手続きでは、
全ての書類や通信記録を保管しておくことが最も重要です。こちらが「クーリング・オフを申し込んだ」という証拠を残すためです。
電話・Eメール・口頭での会話では正式な記録が残っていないと、「言った・言わない・聞いていない」のトラブルになりかねません。
証拠を集めてから、実際にクーリングオフの手続きにうつっていきます。
①通知は書面で! 内容証明郵便の送り方
クーリング・オフは、書面で送るようにしましょう。さらに、郵便をいつ・誰が・誰に送ったことが公的に証明できる「内容証明」という方法を使います。
これにより、
クーリング・オフが確実に申し込まれたことが記録に残るため、相手業者の言い逃れを防ぐことができるのです。
ただし、内容証明は
「はがきでは利用できないサービスである」ことを覚えておくようにしましょう。
内容証明を送る場合は、封書を使う必要があります。
料金は、
「基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金430円」
となります。
(※2018年8月現在)
内容証明は全ての郵便局が対応しているわけではないので、まずは最寄りの郵便局の窓口に問い合わせたり、地域の本局など比較的大きい郵便局を訪ねて手続きをするといいでしょう。実際の手続きには印鑑を忘れずに持参して下さい。
封書ではなくはがきを使いたい場合は、簡易書留であれば記録を残すことができます。こちらの料金は、
全国一律で372円となります(2018年8月現在)。
※封書・はがき共に郵便を送る前に内容と封筒の裏表のコピーを取り、控えとして手元に保管しておくことを忘れないようにしてください。
このほか、内容証明には、送れる文書が1通のみ、図表は含めることができないというルールがあります。また「謄本」と言って、郵便局と差出人が保管する書類を提出する必要があります。
内容証明を送る場合の詳しいルールや記入例をまとめましたので、こちらも参考にしてください。
内容証明の謄本書式の文字数 |
横書きの場合 |
・1行20字以内、1枚26行以内
・1行13字以内、1枚40行以内
・1行26字以内、1枚20行以内
|
縦書きの場合 |
・1行20字以内、1枚26行以内
|
通知文書の内容の一例
(同じものを3枚用意し、自分・郵便局への謄本・送付用としても構いません)
注1(契約解除の旨を記入、挨拶や返金理由を書く必要はありません)
注2(必ず書く必要はありませんが、返金に応じない場合の対策になります)
※出典
国民生活センター
②契約書が届いても、お金を支払う前にクーリング・オフをしたら?
期限内に通知を送ればクーリング・オフは成立したことになります。返品などがあれば相手方の業者負担で引き取ってもらいましょう。
商品は開封や消費をしないでください。
③すでにお金を支払ってしまったら?
返金を待ちましょう。返金時期について、クーリング・オフ制度の中で明確な日数は定められていませんが、法律では
「速やかに」返金するよう定められています。返品などがあれば、同様に相手方の業者負担で引き取ってもらいましょう。同じく、商品は開封や消費をしないでください。
④クレジットで支払いをしていた場合は?
購入金額をクレジットカードで支払っていた場合、
クレジット会社にもクーリング・オフの通知を送る必要があります。相手方の業者と信販会社(クレジットカード事業者)で情報が共有されていなかった場合、
支払い金額の請求が来てしまうおそれがあるからです。
信販会社に対しても、同様の手順で通知を送りましょう。返金が必要な場合は、信販会社からお金が返ってくる形となります。
⑤契約した覚えがないものはどうするの?
架空請求やアダルトサイトなど、
全く身に覚えがないのに一方的に送られてきた契約や金銭の請求には応じないで下さい。
相手は送付先を特定せず、ランダムに請求を仕掛けていることがほとんどです。
契約した証拠や記録が残らないものについては、自分から相手に連絡をすると
個人情報を知られてしまう恐れがあり、別のトラブルに発展する可能性があるため大変危険です。
無視をして一切相手にしないか、不安であれば警察に相談するなどをして、判断を仰ぎましょう。
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3.クーリング・オフ手順が終わったら……。
クーリング・オフは一方的に契約を解除することができる制度ですので、解除によって消費者側が違約金や損害賠償を負うことはありません。リフォーム工事などの場合は、相手側業者の負担で原状回復を求められます。
商品が自分の手元に届いてしまっている場合は、相手方の業者に料金を負担させる形で返送できます。消費者側には負担が発生しません。請求がきても応じないことです。
①妨害をされたら?
クーリング・オフに対して相手側業者が消費者に対して妨害をすることは
違法です。
「クーリング・オフはできない」
「そのような話は聞いていない」
「こちらに損害を与えたので賠償金を請求する」
などの脅しは、無視をしても大丈夫です。
どうしても不安な場合は、
消費生活センターに相談するなどの対策をとりましょう。
②返金はどうなるの?
先ほども説明したとおり、クーリング・オフの通知から返金までの期間について、具体的な日数は決められていません。そのため、相手側業者が返金をしてこなかったり、様々な理由をつけて返金を遅らせてくる場合があります。
その対策のためにも、
通知書に返金期限を記載するなどの対策を取っておきましょう。
期限が過ぎても返金されないようであれば請求書を出し、それでも応じてこない場合は、訴訟などの法的手続きが必要となってきます。
各自治体の消費者生活センターや
法テラスなどに相談してみるとよいでしょう。
ただし、
身の危険を感じる妨害を受けた場合などの緊急性を要する時は、ためらわず警察や弁護士などの専門家に相談しましょう。
その際も、証拠として保管した書類があれば話がしやすくなります。
このほか、ひとつの業者が同じ手口で多くの人を騙す大規模な詐欺が発覚したり、クーリング・オフの妨害などトラブルに発展したりするケースもあります。
このような場合には、被害者同士が集まって手を組み、集団訴訟を立ち上げることも検討できます。
4.まとめ
<クーリング・オフの手続き心得!>
- 自分の購入・契約した商品やサービス内容を確認
- クーリング・オフに使用した書類は全て保管をしておく
- クーリング・オフできないものやサービスもある
- クーリング・オフには期限がある! いつまでも悩まず、早めの行動を
- もしも妨害にあっても相手にしないか、専門家に相談や訴訟も視野に
おわりに
もし誤って商品の購入や契約を結んでしまった場合でも、クーリング・オフを利用して解除をする方法があることがわかりましたね。
焦ってさらに大きなトラブルに巻き込まれる前に、まずは落ち着いてクーリング・オフについての情報を集めましょう。返金の手立てが見つかることもあります。
購入や契約までにもし少しでも「おかしいな?」と思ったら、すぐにお金を払ったり、契約したりせず、公的機関や専門家に相談することも大切です。
また、今後は自分や家族や友人が訪問販売や電話勧誘などの被害にあわないよう、対策をしていくことも忘れないようにしましょう。