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不当解雇は慰謝料請求できる!訴訟までの7ステップ&事例で相場を解説

投稿日時 2018年12月27日 18時35分
更新日時 2018年12月27日 18時35分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 会社を突然解雇されて理由に納得できていない人

  • 不当解雇を理由に慰謝料請求をする手順を知りたい人

  • 慰謝料請求をするために慰謝料相場を知っておきたい人

はじめに

不当解雇とは、法律で決められている条件や手順を守らずに労働者を解雇することを言います。

訴訟によって不当解雇が認められた場合、解雇通知を会社から受け取っていた場合でも、まだ会社に所属しているとみなされ、解雇の取り消しや賃金の支払い、慰謝料の請求などを会社に求めることができるようになります。

この記事では、不当解雇による慰謝料を会社に請求する方法や、不当解雇であることを証明するために必要なポイントなどについて解説していきます。

「特に身に覚えもない理由で解雇された。納得できない……」

そんな場合に行動を起こす参考としてみてください。


1.不当解雇で慰謝料を請求する7つのステップ



不当解雇により精神的な苦痛を受けたという場合、慰謝料の支払いを会社に求めることができます。

その相場は、おおよそ10~100万程度。「パワハラを告発したら自分が解雇された」など、会社側の悪質さが高いほど、高額になる傾向にあります。

では、会社に慰謝料を請求する際にはどんな証拠や手順が必要となるのでしょうか。7つのステップにわけて紹介していきます。

①解雇理由証明書を請求する

解雇理由証明書は、その名前の通り、解雇の理由が記載されている書類です。

労働者が請求した場合、会社はこの書類を渡さなければならないと法律で定められています。

ここに書かれた理由は、解雇が不当であるかそうでないかを判断する際に重要となってきます。もし解雇の通知を受けた際は、必ず請求するようにしましょう。また解雇理由証明書は、退職をした後でも請求をすることが可能です。

場合によっては、解雇の通知を出したにも関わらず、自己都合退職にするよう強制させられたり、退職合意書にサインをするよう求められる場合もあります。

しかし、解雇日より前に自己都合で退職をしてもらうと、この解雇理由証明書をもらうことができなくなってしまいます。

無理やり退職させようとする行為は退職強要にもあたりますので、不用意に退職合意書にサインをしないようにしてください。

②証拠を集める

解雇理由証明書を発行してもらったあとは、解雇の理由とされている条件を覆す証拠を集めましょう。例えば「営業成績が振るわない」だった場合は、自身の営業成績を証明する書類やデータなどです。

一般的に証拠として使わることが多いのは、以下の5つです。

・人事評価
・就業規則
・雇用契約書
・給与明細
・源泉徴収票

そのほか、解雇理由に関係する証拠はすべて集めましょう。会社のパソコンだけで閲覧できる情報が証拠になる場合は、印刷したり、スクリーンショットをとっておくとベターです。

「これ、関係なさそうだけど……」と思うようなものも、もしかしたら証拠になるかもしれません。自分だけで判断して取捨選択するのではなく、とりあえず、すべて揃えておきましょう。

③弁護士に依頼し、方針を決定する

証拠を集めたら、労働問題を専門とする、もしくは扱った経験のある弁護士に依頼しましょう。

事前相談は有料である場合が多く、また1回に30分前後しか時間がない場合も多いため、事前に訴えたい内容や証拠をまとめておくと相談がスムーズにすすみます。

不当解雇があった場合、慰謝料だけでなく、解雇の取り消しや未払い賃金の支払いなども一緒に請求するケースがほとんど。

慰謝料以外に請求できる項目については、また後半で詳しく解説します。

④内容証明郵便を送る

弁護士に正式に依頼をしたあとは、会社側に「この解雇は不当だから取り消してほしい、もし応じない場合は訴訟をする」という事実を伝える必要があります。

この意思通達をするときは、内容証明郵便を使います。内容証明郵便とは、誰が、いつ、どのような内容の書面を出したかを郵便局が証明してくれるものです。

内容証明を書くときは、1行20字以内&1枚26行以内以内など、様々なきまりがあるため、弁護士に作成を依頼した方が確実でしょう。自分で作成するときは、郵便局のウェブサイトを参考にしてください。

さらに、内容証明郵便を出すときは、配達証明も一緒につけて送ります。配達証明は、相手にいつ配達したのかを郵便局が証明してくれるものです。「届いていないので、そのような書類は知らない」という言い逃れを防ぐことができます。

⑤会社と交渉する

まずは、会社との交渉を行います。法律の専門家である弁護士が間に入ることで、会社側が非を素直に認めてくれることも考えられます。交渉ですべて解決すればいいのですが、会社側が拒絶した場合は、労働審判を行いましょう。

⑥労働審判を利用する

労働審判は、労働審判官(裁判官)1人と労働問題の専門家2人(労働審判員)で構成する労働審判委員会が間にたって、労働者側と会社側の意見や事実の確認を行い、話し合いによる解決を目指すものです。

話し合いで解決しなければ、労働審判委員会が解決案を出し、労働者と会社側が納得すれば、労働審判が終了します。しかし、納得されない場合は、通常の民事訴訟をすることになります。

⑦民事訴訟を起こす

話し合いや労働審判で解決しなかった場合は、民事訴訟を起こしましょう。

民事訴訟については、こちらの記事を参考にしてください。



⑧【補足】慰謝料だけじゃない!不当解雇で請求できること

会社に請求できることは慰謝料だけではありません。そもそも解雇が無効であるとして、以下のようなことも請求できる場合があります。

・不当解雇によって支払われなかった、または減額された退職金と、会社都合退職の場合の退職金との差額

・その会社に勤め続けていれば得られたはずの収入(逸失損失)


またセクハラ・パワハラなどによって心身を壊し、通院が必要となっていた場合には、その治療費を請求できることもあります。

詳しくは弁護士と相談をしてみてください。

2.解雇の種類3種!適切・不適切な解雇を見分けるポイント



一言に「解雇」といっても、解雇には3つの種類があります。それぞれの解雇方式には正しい方法があり、それに違反していた場合は「この方法だと不当解雇だ」「それは不法行為だ」と判断されることもあるのです。

この章では、解雇の方法による不法行為をご紹介していきます。

①普通解雇

普通解雇とは、労働者の業務が明らかに振るわなかったり、健康上の問題で職場復帰が困難な場合に解雇するものです。

これは、指導をしてもまったく改善が見られない、業務に必要な協調性がまったくないなど、「この能力のままでは勤務継続が難しい」といった場合に適応されます。

しかし、たとえば「こいつとは働きたくない」といった趣味趣向の理由では解雇できません。

普通解雇を行うためには、「客観的で合理的な理由」が必要となります。つまり、誰が聞いても「それなら解雇になっても仕方がない」と納得できる理由ではないと解雇は不当だと判断されるのです。

②整理解雇

整理解雇は、いわゆるリストラのことで、会社の経営悪化による人員削減を理由とする解雇のことです。
整理解雇は、以下の4つすべてを満たしておく必要があります。

・客観的に見て会社の存続が厳しく整理解雇をするべき状況にある
・解雇をしなくてすむよう努力をした
・解雇の対象者を合理的な基準で選んだ
・会社と労働者とで協議を重ねた結果である

つまり、これらの基準を満たさずに整理解雇された場合は、不当解雇だと判断されます。

③懲戒解雇

懲戒解雇は、会社に多大な損害を与えたり社内で大きな問題を起こしたりするなど、何かしらの問題行動を起こした労働者に対して行われる処罰的な解雇です。

懲戒解雇の場合は基本的に、就業規則で「これをしたらいけない」と定められている違反行為をすると対象となります。なお、退職に関する事項は就業規則に必ず書く項目であり、その中に解雇の条件を含んでいるため、「解雇の条件が書かれていない」ということはありえません。

しかし、就業規則に書かれていたとしても、

・もともと、就業規則の規定が厳しすぎる
・同じことをしたほかの従業員は減給ですんだが、その社員だけ懲戒解雇になった

などの場合は、不当な解雇だと判断されます。


3.慰謝料の相場はどれぐらい?不当解雇の損害賠償請求事例3つ



不当解雇の実際の訴訟はどのようなものなのでしょうか。3つの事例をご紹介します。

①勤務能力と適格性の低下を理由に解雇された男性の例

  • 概要

    13年間記者の経験があり即戦力と期待されて外資系企業に入社した男性は、能力の低さを理由に、課題提出をたびたび科されたものの、改善が見られないと評価され続けた。一時的に心身の疲れから休職し、その後復帰。しかし、今度はPIPと呼ばれる業績改善プラン(課題)を科され、目標を達成できなかったことを理由に解雇された。同社に地位確認と解雇された2010年9月以降の未払い賃金(毎月67万5000円)を求めた。

  • 結果

    労働者側の全面勝訴。解雇は無効とされ、解雇後の賃金も全額支払いが命じられた。

  • ポイント

    このケースのポイントは能力不足の基準です。

    会社側は、記事の執筆スピードの遅さや記事本数の少なさなどを理由に、男性は勤務能力がかけていると主張しました。

    しかし、裁判所は客観的に見て、男性は改善に取り組む意欲があったものの会社は適切で具体的な改善案を男性に提供できておらず、さらに会社側が求める能力と一般的に想定される能力のレベルが異なっていることから、男性の能力が欠如していたとはいえないと判断し、解雇理由は合理的なものではなかったとしました。

    さらに、男性は、PIP課題の未達成による「能力不足」を理由に解雇をされましたが、そもそも、PIPの課題が膨大で達成するのが難しかったため、PIPそのものが退職強要だった推測されると判断されました。

②退職勧奨を拒否した社員らが強制的に整理解雇された例

  • 概要

    社員30人に対し、退職勧奨を行われ、退職を拒否した社員らも強制的に整理解雇をされた。その3名が解雇は無効として、地位確認と未払賃金の支払いを求めた

  • 結果

    解雇は無効。未払賃金と遅延損害金の支払いを命じた。

  • ポイント

    このケースのポイントは以下の2つです。

    ・整理解雇の回避努力を怠った
    会社は、高額な役員報酬の減額など、従業員の解雇を避けるための努力をせずに、整理解雇を行っていました。

    ・整理解雇対象者の選定基準があいまいだった
    整理解雇対象者は、非採算部署、つまり「売上などでの業績貢献が少なかった部署の労働者」というあいまいなもので、合理的な選定ではなかったと判断されました。

③会社の不正を告発した女性社員が懲戒解雇された例

  • 概要

    出版社に勤務していた女性が、雑誌の読者プレゼントについて実際には存在していないものを表示しているという不正を告発したところ、上司からパワハラを受け、適応障害を発症し休職。しかし休職中に、「女性がプレゼントを発送せずに盗んだ」として懲戒解雇された。同社に解雇の撤回と未払い賃金、さらに330万円の損害賠償を求めた。

  • 結果

    女性は合意退職をしたものと修正され、解決金120万円の支払いで和解した。

  • ポイント

    このケースのポイントは以下の2つです。

    ・会社側は、女性がプレゼント盗んだことを立証できなかった
    会社側は、消費者庁から「雑誌に虚偽の表記をしている」という指摘を受けていました。会社側も虚偽記載を認め、さらに、女性の横領について客観的な証拠を示すことができなかったため、女性が横領した事実はなかったと推察されます。

    ・懲戒解雇を撤回し、合意退職となった
    懲戒解雇、つまり労働者側に多大な問題があったとするものから、通常の退職に修正されました。さらに、会社側は「女性が盗みを行ったので解雇した」という文章をウェブサイトに掲載していましたが、和解成立後には削除され、女性の名誉が回復されました。


4.まとめ

  • 正当な理由がなく解雇された場合、不当解雇として、解雇の取り消しや慰謝料の請求を行う

  • 不当解雇をされた場合、まずは解雇理由書や証拠を集め、弁護士に相談する。話し合いや労働審判で解決しなかった場合は、民事訴訟を起こす

  • 解雇には①普通解雇②整理解雇③懲戒解雇の3種類があり、それぞれ適切な理由での解雇ではない限り、不当解雇だと判断される

おわりに

突然解雇をされた場合は、冷静に、労働状況を証明する証拠を集めることが大切です。

諦めずに、会社と交渉を行いましょう。


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