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認知症の高齢者の詐欺被害が多発!よくある事例と防犯対策はこの3つ

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投稿日時 2019年06月11日 18時41分
更新日時 2019年06月11日 18時41分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 認知症高齢者の詐欺被害について、防犯対策をしておきたい人

  • 認知症高齢者の詐欺被害について、最近よくある手口の傾向などを知りたい人

  • もしも認知症高齢者の家族が被害にあったらどうしたらいいかを知りたい人

はじめに

内閣府が発表した2019年版高齢社会白書によると、2018年の振り込め詐欺(オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証詐欺および還付金詐欺)の被害者の約8割が60歳以上であることがわかりました。

このうち、オレオレ詐欺の件数に至っては、前年比約5割増の8475件に上っています。

高齢者は認知症を患っている人が少なくなく、症状により記憶力や自分の行動への認知判断能力を失ってしまうため、詐欺のターゲットになりやすくなるとみられています。

2025年には65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症になるともいわれており、今後は一層、家族や周囲の人による詐欺被害への警戒が必要になってくるとどんなみられています。

高齢者に対する詐欺は最近どのような手口があり、どんな防犯対策があればいいのでしょうか。

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1.認知症を狙った詐欺、新たに気を付けるべき点は?



近年、高齢者を狙う新たな手口の詐欺が出現しています。

凶悪化する手口や時事ニュースに絡むものもあるため、もしも認知症の疑いがある家族がいるときは、周囲の人がこれらの動きをチェックしておきましょう。

①アポ電

「アポイントメント電話」、通称「アポ電」。詐欺というよりも強盗の手口に近い、凶悪犯罪にもつながるものです。

高齢者が日中にひとりで在宅していることが多いのに目をつけ、ターゲットの自宅に電話をかけて、資産状況や在宅時間を聞き出します。親族や警察、NHK調査員のなどを装い、家族構成や自宅にある現金、預貯金の額などを聞き出します。

あらかじめ「調査」の電話をかけてから「警察」になりすまして次の電話をかけ、「不審な電話がなかったか」と話して安心させるという手口も。

自宅にかかってくる電話には、個人情報や金銭の話は絶対にしないようにしましょう。

こちらの記事も参考にしてみてください。

②改元詐欺

元号が「平成」から「令和」に変更されたことで、「キャッシュカードの交換」をうたう詐欺が横行しています。

金融機関を名乗り、「改元に伴いカードの交換が必要」「すぐに送り返して」などと書いた郵便を送り付けたり、自宅を直接訪問して、引き取りに来たふりをするなどの手口が知られています。

詳しくはこちらの記事でも解説しています。

③新札詐欺

財務省が2019年4月に、2021年度に新五百円玉が、2024年度に日本銀行券(一万円札、五千円札、千円札)が刷新すると発表しました。

これに伴い、同省は同時に注意喚起として詐欺行為に気を付けるよう呼び掛けています。

新紙幣や硬貨が発行されても、旧紙幣と硬貨は引き続き使用できます。

「古いお金が使えなくなる」「交換する必要がある」といった詐欺がこの先横行することが予想されますので、新紙幣・硬貨の発行時期が近付いたら、一層注意をするようにしましょう。


2.こうして防ごう!認知症高齢者のための詐欺対策4選



社会には、認知症高齢者を詐欺被害から守る様々な仕組みが用意されています。

家族の中ですぐにできるもののほか、ひとり暮らしの高齢者を守るものもあります。

主なものを見てみましょう。

①成年後見制度

認知機能が低下した高齢者が、日常生活に関わるもの以外の大きな買物をしたり、契約をしたりするのは、様々な懸念があります。

成年後見制度は、家庭裁判所の審判を経た家族や専門家が、高齢者本人(被後見人)に代わって本人の資産や不動産の管理、介護などの身の回りの契約をする制度です。専門家は弁護士・司法書士、行政書士、福祉の専門家などが担当。後見人への報酬が発生するほか、認知症の程度については鑑定が必要です。

これにより、金融機関からの資産引き出しや契約行為、不動産売買などは本人ではなく後見人を通じて行うことになります。これは後見人が家族でも同様です。

本人が資産を自由に動かせなくなることで、詐欺被害から財産を守ることができますが、本人についてまとまった資金が必要になったときなどに、後見人を通さないとならないという手間が発生します。

成年後見制度について、詳しくはこちらの記事を参照ください。

②家族信託

民間の制度では「家族信託」があります。

こちらは家族が高齢者本人の資産を管理するもので、家庭裁判所や弁護士などの公的機関・専門家は介入しません。また、認知症になる前から制度を利用することができるため、万が一に備えて、本人の認知機能が十分にある早いうちから対策を取ることができます。

公的制度よりも柔軟にできているものの、家族内で資産を管理するということで、かえってトラブルが発生する可能性もあります。

家族信託については、こちらの記事で詳しく説明しています。

③その他の日常できる対策4つ

このほか、特別な知識を必要としなくても、日常的に被害を防ぐいくつかの方法があります。

  • 固定電話機や電話機周りを見直す

    通話内容を録音する機能がついた、振り込め詐欺防止用の固定電話に変更しましょう。昼間に在宅している高齢者(特に女性)が狙われやすいと言われていますので、必要に応じて留守電を使ったり、合言葉などのルールを決めて、電話の近くに張り紙をしたりする工夫をしてみましょう。


  • 家族の声掛け

    高齢者と対話で信頼関係を築き、高額商品を買わせる「催眠商法」(SF商法、ハイハイ商法)では、「こちらの話を聞いてくれたから信用してしまった」「いい人だと思っていたから」などの被害者の言葉があります。

    家族との対話がなくなってしまった高齢者にとって、詐欺業者は格好の話し相手。家族が気が付いたときには、家に大量の健康食品や高額商品、それらの支払い請求書が……ということにもなりかねません。

    特に離れて暮らしている場合は、日頃から高齢の家族の動向には気を配り、異変がないかこまめに連絡をしたり、声をかけたりしておきましょう。


  • 相談できる体制を整えておく

    詐欺にあって被害が大きくなってしまう一因として、高齢者に「相談できる人がいなかった」「家族に相談したら怒られると思った」というケースがあります。

    「金銭に関する話は必ず誰かに相談する」「振り込み依頼は必ず本人に再度電話を」という決まりを作ったり、そのような際には緊急時でも必ず誰かが話を聞けるようにしておけば安心です。

    また、万が一被害にあっても、家族を過剰に責めることは避けたいものです。もちろん失ってしまった金銭も大切ですが、家族に迷惑をかけたことを苦にして心身を壊したり、亡くなってしまったりする被害者もいることは、心にとめておきましょう。


  • 電話で家庭事情を話さない

    アポ電詐欺は、事前に電話をして資産や在宅状況を尋ねてきます。マンション投資や警察官の安全確認などを装ってくるので、「どんな相手でも油断せず、話さない」という防衛が必要です。

④家族以外の人が依頼できる支援制度は?

ひとり暮らしや高齢者施設利用者など、家族からの援助を得られにくい人で、なんらかの被害にあってしまったり、法的な支援が必要になってしまったりした人にも使える制度があります。

成年後見制度は、市町村長名義で後見人を申請(申立て)をし、専門家を付けてもらうことができます(法定後見制度)

このほか、法テラス(日本司法支援センター)が設けている「特定援助対象者法律相談援助制度」がそれにあたります。

認知機能が十分でなく、自ら支援を求められない人のための出張法律相談で、高齢者のほか、障害者でも利用できます。弁護士または司法書士が出張して面談をするもので、福祉機関からの申し込みしかできません。

また、会話が困難である重度認知症の場合は利用できないことがあり、支援者は極力同席するよう要請されています。

法テラスの制度なので、資金能力がなくても利用できますが、一定以上の資産があれば相談料は1件5400円です。

申し込みの書類などは こちらで入手できます。


3.いざというときのために!覚えておきたい相談先4つ



詐欺について知識があり、「自分は騙されないと思っていた」と考えていた被害者は少なくありません。つまり、いつどんな形で詐欺騙されてしまうかはわからないもの。

「騙された」とわかってから慌てないよう、日頃から被害相談をできる先を把握しておきましょう。

相談前には、わかる限りの相手の連絡先、口座番号、請求書や支払い明細、納品書、現物(未開封のものはそのままに、開封しても捨てないで)を手元に保管しておきましょう。

また「被害にあった金額を取り戻します」と称して手数料などの名目でさらに金銭を騙し取る、二次被害を誘発させる手口も存在しますので、まずは公的機関や弁護士に相談するのが確実です。

①国民生活センター

各都道府県の消費生活センターに繋がる「消費者ホットライン」があるほか、業者との交渉を取り持ってくれたり、他の関係機関を紹介してくれたりする、公的な消費トラブル解決機関です。

まずは消費者ホットラインに電話をしてみましょう。

電話番号:局番なし188(いやや)
受付時間:平日9時~17時、土日祝10時~16時(窓口によって異なる)
休業日:12月29日~1月3日

こちらの記事も参照してみてください。

②金融機関

詐欺業者に銀行の口座振り込みで金銭を支払ってしまったときは、早急に振り込んだ相手先の金融機関に連絡し、相手の口座を凍結してもらいましょう。このとき、警察への通報も合わせて済ませる必要があります。

これは「振り込め詐欺救済法」という制度で、凍結後の相手の口座に残高があれば、その分を被害者に分配できるものです。

振り込め詐欺救済法については、こちらの記事でも詳細を説明しています。

③警察

事件・事故のいわゆる「110番」通報以外に「#9110」という、警察の相談専門の番号があります。「これって詐欺なの?」「犯罪に巻き込まれているかどうか不安……」といった場合は、こちらに電話をしましょう。

これは、緊急に使われる110番が相談でパンクしてしまうのを防ぐためのもの。もちろん、実際に被害が出たときはためらわず110番通報を使いましょう。

④弁護士

架空請求詐欺のはがきの文面などにみられるように、詐欺業者は高齢者に知識がないことを利用して、「法律関係の郵便物に見える」ように装った手口を使ってくることがあります。

「法的トラブルに巻き込まれたかも」と不安になったら、業者にすぐ連絡するのではなく、警察や弁護士に尋ねてみる方法があります。

このほか、詐欺業者からの返金や「クーリング・オフ」制度を使った契約解除・返品などについても相談できます。

弁護士を探すには、 日本弁護士連合会(日弁連)のサイトが便利です。

費用については、こちらでも解説しています。

このほか詐欺にあったときの通報先は、下記の記事でも詳しく紹介しています。


4.まとめ

  • 新たな詐欺の手口は続々登場するので、家族も情報収集を怠らないようにしたいもの。

  • 家庭内でできる様々な詐欺対策を取っておく

  • いざというときは、公的機関や弁護士へ速やかに相談を

おわりに

健康上のケアのほか、日常の防犯や資産管理にも関わってくる認知症。本人以外に、家族や周囲の支援者にも負担は少なくないでしょう。

公的機関や制度の利用、家庭での対策を上手く組み合わせて乗り切れるようにしていきたいものです。いざとなったときには、家族内やひとりで解決しようとせず、ためらわずにこれらを頼っていきましょう。

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