やりがい搾取とは?起こり得る問題と気をつけるべき危険なセリフ7選

2019年03月13日労働問題

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 「やりがい搾取」ってよく聞くけど、具体的になんなのかよくわからない人
  • 「将来必ず役に立つから」と言われて、無報酬のまま仕事をしている人
  • 人の役に立てば無給でもいいと思っている人

はじめに

「やりがい搾取(さくしゅ)」という言葉を聞いたことはありますか?

「やりがい」などの曖昧なメリットと引き換えに、無報酬で働かせるような行為のことを指し、東京オリンピック・パラリンピックのボランティア募集に際しても使われました。

オリンピックに限らず、さまざまなシーンでこの「やりがい搾取」は横行しています。経験や実績の少ない学生などにつけこみ、ブラックな労働をさせているケースが少なくありません。

そこで今回は、やりがい搾取の問題点や気をつけたいセリフ、対策法について詳しく解説していきます。

あなたが無給でしているその仕事、実はやりがい搾取をではありませんか?

ぜひ、冷静に振り返る参考としてみてください。

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1.「やりがい搾取」…感謝されてるのにいけないことだと言われる理由3つ



やりがい搾取(さくしゅ)という言葉は、教育社会学者である東京大学の本田由紀教授によって提唱された造語。金銭の代わりに「やりがい」を報酬として強く意識させ、サービス残業や低賃金での労働といった形で労働力を搾取することを指します。

その問題点についてまずは紹介していきます。

①なにが悪いの?「やりがい搾取」がもたらす悪影響

やりがい搾取による悪影響は、労働者本人だけでなく、社会全体に及びます。その具体的な例を2点、ご紹介します。


  • 精神的な対価しか得られない

    仕事をするうえで、人から感謝されることをやりがいと感じることは悪いことではありません。しかし、業務量や業務内容が賃金に反映されないやりがい搾取では、労働に対して「感謝」や「名誉」など精神的な対価しか得られないため、当然ながら労働者は生活が苦しくなります。実体のない報酬は、少なくとも経済的な豊かさを生み出してはくれません。

  • 業界全体が疲弊してしまう

    「やりがい」を建前にした低賃金や無報酬での労働が業界の常識になってしまうと、そのせいで業界全体の報酬単価が下がってしまいます。結果として業界に人が定着せず、残った人は変わらない賃金でますます多くの仕事をこなさなければならなくなります。

    結果として、長期的に業界全体が疲弊していくことになります。

②「やりがい」をエサに違法行為をしているケースも…

やりがい搾取の中には、そもそも違法行為を行っているケースもあります。

例えば、企業における賃金未払いやサービス残業。これらはそもそも法律で定められたきまりに違反しており、どんなきれいな言葉を並べようとも許されることではありません。

また過度の長時間労働は過労死に繋がる危険もあり、これも法律で規制されています。

また、「君のためだから」という名目で行われるセクハラパワハラも大きな問題であり、違法行為といえるでしょう。

③あなたは当てはまる?狙われやすいのはこんな人

では、どんな人がやりがい搾取の被害に遭いやすいのでしょうか?

一言でまとめればそれは「断れない人」。断れない理由は様々ですが、たとえば下記のようなタイプがあげられるでしょう。

  • 真面目で責任感が強い人
  • 自信がなく、強く言われると断れない人
  • 「金にこだわるのは悪いことだ」と思っている人
  • 他人のことを信じやすい人
  • 実績が少なく、お金よりもとにかく仕事が欲しい人
  • 報酬の単価がわからないという人

やりがい搾取を避けるために持っておきたいのは、「労働には見合った対価が必要である」という意識です。

低賃金や無報酬では、自分がいっぱいいっぱいになってしまい、人の役に立つ余裕もなくなってゆきます。

自分だけを犠牲にするのではなく、自分と他人の両方が得をするような働き方を考えてみてください。

また経験やスキルが少ないと、自分を安く見積もってしまいがち。しかし、お金が支払われない労働には、お金をもらうことに対する責任もなく、大きな経験や実績になることは稀です。

最初はお金をもらうことにプレッシャーを感じるかもしれませんが、勇気を出してきちんと「仕事」にしてみてください。

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2.もはや「やりがい詐欺」?危険なセリフあるある5選



次に、やりがい搾取にありがちな「危険なセリフ」について、例を見ていきましょう。こんな言葉が上司やクライアントから出てきたら、注意してください。

①「好きでやってるんだから、お金はいらないでしょう?」

クリエイター系の人の場合、「好きでやってるんだから、お金はいらないでしょう?」と言われることがあります。

しかし、好きなことをしていることと、報酬を受け取ることは全く別の問題。好きなことをしていても、それに価値があれば、見合った報酬を受け取る権利があります。

趣味でやっているという勝手なイメージを持ち、搾取しようと考える人は、会社だけではなく友人や家族にもいるケースがあります。十分に注意しましょう。

②「知り合いなんだから、このくらいはタダでいいよね」

家族や友人などから、「知り合いだからタダでやって」と言われることがあります。

仲のいい相手だった場合はつい無料でOKしたくなることもあるでしょうが、ここでもなるべくきちんとお金をもらったほうが無難。

一度無料で仕事を受けてしまうと、次回以降も要求がエスカレートしたり、その知り合いや友人からもタダで依頼されたり……と、結果として収集がつかなくなる場合が多いからです。

一度無料でうけたあとに次回以降有料にしたり、ある程度タダでやってから断ってしまったりすると、結果として人間関係にヒビが入ってしまうリスクもあります。それなら最初から有料で受けるなり、きっぱりと断るなりしたほうがカドもたちません。

③「これだけの作業なのにお金とるの?」

モノの修理や、外国語の翻訳といった作業に対し、「なんでその程度のことでお金とるの?」と言われることがあります。

作業自体はすぐに終わる場合は、なおさらそういった感想を持たれがち。言われたほうも反論しづらいかもしれません。

しかし、たとえ実際には5分ですむ作業であっても、きちんと行うには長い時間をかけて身に着けた技術が必要です。その労力を安売りしてはいけません。

プロフェッショナルとして仕事をする以上、たとえ短い時間であっても、きちんとそのぶんの対価を提示しましょう。

④「これも経験(実績)になるから」

特に自分がまだ経験が少ない場合、「これも経験(実績)になるから」と、低単価での仕事を頼まれることがあります。

一見正論に感じるかもしれませんが、「経験」「実績」というあいまいな言葉で報酬をごまかすのは、誠実とは言いづらいやり方です。

そもそも、後々大きな実績になるほど大きな仕事であるなら、それなりのコストをかけて依頼するのが本来であるはず。

そのお金をケチるということは、その仕事自体が大きなものではないか、ごく末端の作業である可能性が高いでしょう。

名目だけの実績よりも、きちんとお金をやり取りして行う仕事のほうがずっと身になりますし、また信頼にもつながります。

みかけだけの「実績」という言葉にだまされないようにしましょう。

⑤「ついでにこれもやってくれない?」

依頼された作業を始めてから、「ついでにこれもやってもらいたいからお願いね!」などと有無を言わさずに依頼され、いつの間にか作業量が増えるパターンです。

悪質な場合は追加料金も支払われず、追加作業分がタダ働きとなります。

新たな作業を依頼されるのではなく、あくまでも依頼済みの作業への追加となるため、つい無償で受けてしまいやすいがち。いちいち追加料金をとるとお金にがめついと思われないか心配……ということもあるでしょう。

しかし、事前に交わした作業内容とは別に依頼があったのなら、それは追加で仕事をうけたことと同じ。うやむやにすることこそが仕事としては問題です。

予定外の追加作業には、きちんと見積もりなどを再提示するようにしてください。

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3.「ちょっと待て その条件は 搾取かも?」…取るべき行動3選!



どのようなことがやりがい搾取になるのかがわかったところで、対処できなければ搾取されてしまいます。具体的に、どのように対策すればいいのか詳しくみていきましょう。

①報酬があるかどうかを聞いてみる

取引先などの場合は報酬を含めた契約を、会社の場合は残業代や休日手当が出るかどうかを、事前に確認しましょう。

特にフリーランスで仕事をする場合、契約書を交わすことが非常に重要となります。

同業他社でのケースや、似た作業に対する報酬を参考に、見積もりを出すといいでしょう。また、友人や知人、先輩などの職場での事例も確認し、追加料金の根拠となる理由も確認することが大切です。

単に追加料金を支払ってほしいとだけ伝えても、承諾されない可能性があります。労働者としても、妥当な追加料金を勤務先や取引先に伝え、双方にとってメリットのある関係となるよう意識することが重要です。

②仕事を受ける前に作業内容と金額を明らかにする

追加料金を確実に請求できるように、仕事を受ける前に具体的な作業内容と金額を確認しましょう。どの作業にどの程度の報酬が発生するか、追加で作業が必要となった際には、追加料金を受け取れるかを明確にしておくことが大切です。

そうすれば、企業としても無報酬で追加作業を依頼しにくくなります。そして、作業が追加されたときに、労働者としても追加料金を請求しやすくなるでしょう。

③「逃げるは恥」じゃない!転職を考えよう

もしあなたが就職している場合、自分を正当に評価してくれる会社に転職するのもひとつの手です。

ただし、必ずしも全て解決するわけではありません。次のようなことに注意しましょう。

  • 転職先はよく吟味を!

    求人に嘘の情報が記載されていたり、イメージ戦略として勘違いするような文言が書かれていたりする場合があります。転職先でふたたびやりがい搾取にあった…ということがあると泣くに泣けません。

    面接などで会社の雰囲気を確認するのはもちろんですが、雇用契約などを事前によく確認し、判断するようにしましょう。

    求人に関する詳しい内容は下記の記事でも紹介しています。


  • ブラック企業の場合は退職トラブルが起こることがある

    ブラック企業に勤めている場合、退職時に妨害される可能性もあるため注意が必要です。有給休暇の消化の拒否、嫌がらせ、違約金の請求などをされる場合があります。有給休暇の消化の拒否は、労働基準監督署に相談し、嫌がらせには「名誉棄損で訴える」と返答しましょう。そして、ただの退職において、違約金を支払う義務はありません。

    詳しくは、下記の記事を参考にしてください。




④ハラスメントや賃金未払いなど、悪質な搾取にあったら公的機関へ

セクハラやパワハラ、賃金未払いなど悪質な搾取にあった場合は、公的機関に相談しましょう。いずれも法律に違反しているため、関係各所に相談することで、解決に繋がる可能性があります。

  • 労働基準監督署に相談する

    賃金未払いやパワハラ、セクハラなど、様々な労働問題を相談できます。勤務先が法律違反をしている疑いがある場合は、行政指導などができる担当部署へ取り次いでもらえます。労働基準監督署の所在地や連絡先は、 こちらからご確認ください。

  • 女性の人権ホットライン

    職場でのセクハラやいじめなどを相談できます。女性の人権問題に関する知識が豊富な人に無料で相談でき、情報を外部に漏らすことはありません。

    電話番号:0570-070-810
    受付時間:月~金8:30~17:15

  • みんなの人権110番

    パワハラなど人権に関する相談を受けつけています。人権問題に詳しい人に相談でき、情報が漏れることもありません。

    電話番号:0570-003-110
    受付時間:月~金8:30~17:15

  • 弁護士に相談する

    賃金未払いやセクハラ、パワハラなど、あらゆる問題を解決に導く法律のプロです。会社への未払い賃金の請求や調停、訴訟などのサポートをしてくれます。労働問題に詳しい弁護士に依頼することで、解決の可能性が高まります。 日本弁護士連合会(日弁連)のサイトから探してみましょう。 下記の記事も参考にしてみてください。



4.まとめ

  • 精神的な対価を理由に低賃金・無報酬での労働を強いる「やりがい搾取」は、受けた個人だけでなく業界全体に悪影響を及ぼす。

  • よくありがちなフレーズを事前に把握し、きちんと対応をとるようにしよう。

  • 特にフリーランスの場合、作業内容と報酬を明確にし、きちんと契約書を交わすことが大切となる。

おわりに

問題視されても、なかなか減らない「やりがい搾取」。

きちんと自分のできることを提供し、お金をもらうのは取引の基本。むしろきちんとお金と作業内容をすりあわせるのが誠実なやり方です。

自分と相手双方にメリットのある取引を心がけましょう。

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