サプリの効果、本当に信用できる?飲む前に知っておきたい7つの問題

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投稿日時 2019年02月26日 18時35分
更新日時 2019年09月17日 16時45分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 「効く」と噂のサプリメントを飲み始めたが、一向に効果が出ない人

  • 広告で見かけた気になるサプリがあるが、騙されないか不安な人

  • 飲んでも全然効かないサプリを買ってしまい、通報や相談をしたい人


はじめに

健康や美容のためにサプリメントを飲んでいるのに、一向に効果が出ない…。
こんな経験をしたことはないでしょうか。

場合によっては、効果が出ないばかりか、飲み続けることで健康被害が起きた事例も。また効果の誇張表現や嘘の内容を表示するといった誇大広告もよく問題となっています。

そもそも「サプリ」や「健康食品」とは一体どのようなものを指すのでしょう? 成分や宣伝方法に、一定の基準はあるのでしょうか?

案外知らない「サプリ」について、どう付き合うべきなのかを解説していきます。

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1.それでも飲む?サプリが抱える7つの問題点



「サプリメント」という商品について、法律上で明確な定義が決まっているわけではありません。一定の効果や機能を国が保証しているわけではないため、効果があるのかどうかわからない商品がまぎれこみやすくなっているのです。

この章では、こうしたサプリにまつわる問題点について解説していきます。「いいな」と思って購入する前に、意識してみてください。

①「サプリ」の効果に保証はない

意外に思われるかもしれませんが、「サプリメント(サプリ)」と「健康食品」という言葉について、国が指定する明確な定義はありません。

厚生労働省、日本医師会、国立健康・栄養研究所が医師向けに発表した資料 でも、「その用語に行政的な定義はありません」とされています。

つまりどんな成分が入っているかは関係なく、なんでも「サプリ」と名乗れてしまうのが現状。薬のような形をしていますが、効果の有無についてきちんと保証されているわけではないのです

過剰摂取や粗悪品の見極めが難しいこともあり、厚生労働省や日本医師会は「現在の自分に本当に必要なものなのかどうかを確かめて」と消費者に注意を呼び掛けています。

②「サプリ」で病気は治らない

サプリは医薬品ではなく、法律上は単なる「食品」。あくまで健康を補助するものであり、きちんと認可を受けたものであっても、特定の病気を治すといった劇的な効果は期待できません

特に大病をわずらった際、「免疫力を高める」などと称する民間療法やサプリメントに頼った結果、病状が進行してしまうという事例が多く見られます。

なんらかの体調不良を抱えているとき、必要となるのはサプリではなく、医療機関による治療と医薬品の処方

そもそも、医薬品の認可を受けたものでない限り、特定の病名や症状を指して「●●に効く」と書いてあるようなものは違法です。

きちんと効果が保証されているのなら、サプリではなく正式な医薬品になっているはず。病気に乗じた悪質なサプリに騙されないようにしてください。

③「天然成分」でごまかされる危険性

「天然」「ナチュラル」「自然」「オーガニック」……などのキャッチコピーや商品名に対して、一見安全なイメージを持ってしまいがち。しかし、天然成分だからといって、無条件に安全とは限りません。

重要なのは、あくまで科学的な根拠や法令に基づいて安全が確保されたものかどうかという点。自然由来のものであっても、衛生面で安全とは限らないのです

④思い込みが見えなくする健康リスク

薬としての効能を持たないものを「薬である」として飲ませた結果、患者が精神的な安心感を得て症状が軽くなる現象を「プラシーボ効果」(偽薬効果)といいます。

たとえば、眠れない人に対して「睡眠薬」と伝えてただの小麦粉などを飲ませた場合、「これで眠れる」という思い込みによる安心感によって眠りにつけるケースはあります。

サプリに関しても同様に、「効果がある」と思い込んで服用することで一定の効果が得られる可能性はゼロとは言えません。

ただし、思い込みによる効果が出ることと、実際のサプリが安全かどうかは別問題

思い込みでよく眠れるようになった反面、危険な成分によって別の健康被害が出るケースもまた十分にあります

⑤過剰摂取や飲み合わせによる悪影響

「健康によいから」とサプリを飲みすぎてしまうことによる健康被害もあります。
鉄分・亜鉛・ビタミン類といった必須栄養素と呼ばれるものであっても、取りすぎると健康に悪影響を及ぼす場合があるのです。

肝臓機能に悪影響を与える「薬物性肝障害」のほか、含有成分によっては呼吸困難や気管支炎を引き起こした事例も。

このほか、風邪薬と複数のサプリを飲んでいる最中に風邪薬を飲んだことで発症した事例もあるため、飲み合わせや自身の体質に合ったものを選び、適切な容量を守りましょう。

国民生活センターや厚生労働省の発表によると、身体トラブルが起きる人の多くは40~70代。「健康食品」に頼る中高年のユーザーは特に注意した方がよいかもしれません。

⑥死亡例も!輸入サプリメントの恐怖

ウェブ通販の普及により、海外から手軽にサプリメントを輸入できるようになりました。しかし、海外製のサプリは危険の宝庫。日本国内で使用できない成分が含まれていたり、製造過程に問題があったりする可能性が高いからです

海外のダイエット系サプリを利用して呼吸困難を起こし、死亡した事例もあります。

海外輸入のサプリの使用は控えるようにしてください。

⑦「誇大広告」でトラブルが発生

実際の商品が持つ効能・効果よりも著しく良いもののように誇張して見せかけたり、効果がないものを効果があるかのようにうたう広告の手法は、景品表示法や健康増進法という法律で規制されるものです。

特に、商品を実際よりも良く見せる「優良誤認表示」はサプリの広告でよく見られる手口で、違反をした業者には課徴金が発生することもあります。

2017年には、特定保健機能食品(トクホ)の要件を満たさないサプリを、消費者庁長官の認可を得たものように見せて販売したことに対し、優良誤認表示であるとして、 厚生労働省が業者に約3000万円の課徴金を課す措置命令を行った例 があります。

誇大広告については、下記の記事でより詳しく解説しています。


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2.怪しいサプリから身を守るには?予防法と対処法3選



ここまで、サプリの問題点を見てきました。
それでは、実際にトラブルがあった場合はどこに相談すればいいのでしょうか。

  • 相談前に準備すること
  • 購入時にトラブルがあったら
  • 飲み始めてからの健康被害があったら

上記について確認していきましょう。

①信頼性を「名前」と「成分」で見極めよう!

「サプリメント」「健康食品」は、効果の有無にかかわらず名乗ることが可能。

その一方で、国がある程度の効果を認定した商品は「保健機能食品」と呼ばれます。

このカテゴリの商品として販売するには、国の認証や許可、または指定された表示項目が必要。効果についても一定の裏付けが求められるため、これらの名前で販売されている商品は、ある程度信頼がおけると言えるでしょう。

その名称と認可のルールは、下記の通りです。
保健機能食品(下記の全ての総称)
名称 許認可方法など
機能性表示食品 届出制。業者が科学的根拠に基づき評価し、消費者庁に届け出る。
特定保健用食品 個別許可制。消費者庁長官が許可、有効性や安全性は国の審査が必要。
栄養機能食品 自己認証制(認可は必要なし)。特定の栄養成分を補給するために摂取するもの。ビタミン13種、ミネラル6種、脂肪酸1種についてのみ表示できるほか、注意事項で記載するべき内容も決まっている。
出典: 厚生労働省国民生活センター消費者庁 など

この中でも特に特定保健用食品については、消費者庁の審査・許可が必要となるため、信頼性が高いと言えます。

許可された商品は 厚生労働省のサイト「特定保健用食品(トクホ)許可制」という項目から調べることができます。

あとから認証が取り消された例もあるため全面的に信頼できるわけではありませんが、一定の参考にはなるでしょう。

  • 「医薬品」と「医薬部外品」

    そのほかのカテゴリとして「医薬品」「医薬部外品」というものがあります。

    医薬品は「症状のある患者が使用するもの」または医師や薬剤師の管理下でないと処方や服用ができないものです。健康の維持や増進のために摂取するものではありません。

    一方で医薬部外品は、コンタクトレンズの装着液や染毛剤、にきび薬など、指定された機能を持つもののみが表示できます。

    その製造と販売については、厚生労働省および各都道府県の許可と承認を得る必要があるため、一定の安全性・効果に対する信頼性は高いと言えるでしょう。またこの許認可については、化粧品も含まれます。

  • 成分からも安全をチェック!

    国立研究開発法人・医薬基盤健康栄養研究所は、サプリに含まれる様々な成分について、正式な論文を科学的根拠に、効能の有無や安全性を示した「健康食品素材栄養データベース」 を作成しています。

    また、 厚生労働省が健康被害情報と無承認無許可医薬品の情報を開示していますので、自分が飲んでいるサプリが気になる人はこちらで調べてみるのもいいでしょう。


②「このサプリ、なにかおかしい」…そんなときの通報や相談先

次に、サプリ購入時にトラブルにあった場合や、飲み始めてからの体調に問題があった場合の相談窓口を紹介していきます。

連絡前に下記のことを確認・準備しておくと、相談がしやすくなります。

  • サプリの現物、パッケージ、外箱、説明書など
  • いつ、どこで購入したか
  • 購入した際の請求書、領収書、納品書
  • どこに掲載されたどんな広告を見たか、またはそのチラシなど現物
  • 広告の内容と実際の商品とのギャップや違和感
  • 飲み始めたのはいつか
  • 1日当たりの服用量と回数は
  • 体調不良が現れたのはいつ頃か
  • 自身にアレルギーや持病はないか
  • 普段服用している薬はないか

では、それぞれの窓口を目的別に紹介していきます。

  • 誇大広告や詐欺を通報したい

    先に紹介したように、誇張表現によりサプリの効能などを過剰に期待させたりする内容を広告することは禁止されています。

    このような広告にあったときは、下記の窓口へ通報しましょう。

    消費者庁

    下記の入力フォームから、実際の商品とはかけ離れた内容や不当表示をしている広告を報告することができます。

    景品表示法違反被疑情報提供フォーム

    日本広告審査機構(JARO)

    広告やメディア関連企業が参画する、広告の自主規制機構です。

    大げさだったり、紛らわしかったりする表現や、虚偽の内容などがある広告を ウェブサイト で報告できるほか、電話やFAXなどでも受け付けています。

    電話:03-3541-2811
    FAX:03-3541-2816

    国民生活センター(188)

    消費者ホットライン(局番なし188・いやや)は、各自治体の消費生活センター窓口の総合案内です。
    消費トラブルにあったとき、専門の相談員と話すことができます。
    電話がつながりにくいときは、平日バックアップ相談:03-3446-1623へ

    各自治体の保健所

    保健所は誇大広告、無承認薬物、食品でありながら薬の効果を表示するものについて、通報を受け付けています。自分の住む自治体の保健所の窓口を訪ねてみましょう。

  • 健康被害を相談したい

    サプリを飲み始めてから体調がおかしくなったり、違和感を感じたりした場合はすぐに服用を中止し、保健所や医療機関に相談をしてください。

    また、サプリの製造メーカーにも報告をしておくといいでしょう。 メーカーは2018年6月から特定成分を含む食品の健康被害情報があった場合、行政まで届け出なければならないことになっているほか、2021年6月までには、自主回収(リコール)があった際にも届け出が必要になります。

③効果がなかったら、返品や解約はできる?

一度開封してしまったり、服用してしまった食品については、返品が難しい場合がほとんどです。

訪問販売などで騙されたり、脅されたりして購入した商品を解約するには、「クーリング・オフ」という制度がありますが、これも開封した健康食品には適用できません。ただし、未使用分については適用できる場合もあります。

また通信販売の場合は、脅されたり急かされたりして契約を迫られるものではなく、自分でウェブサイトにアクセスし、吟味して購入するものとみられるため、やはりクーリング・オフはできませんが、返品特約などが設けられている場合がありますので、購入したサイトを確認してみましょう。

下記の記事も参考にしてみてください。

集団訴訟プラットフォームのenjinで被害を取り戻そう

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3.メーカーを訴えるにはどうすればいい?3つの手段を紹介



詐欺的な販売方法に騙されたり、健康被害が起きたりした場合、メーカーに対して消費者ができることはあるのでしょうか。訴訟はそのひとつの方法です。

①弁護士に相談しよう

悪質業者による消費トラブルがあったときは、弁護士にも相談をしてみましょう。

クレームや通報などとは異なり、法的な判断で手続きを考えてくれる味方になります。

日本弁護士連合会(日弁連) のサイトから身近な弁護士を探すことができるほか、地域で消費問題などを扱っている弁護士がいたら、そちらに相談をしてみましょう。

弁護士への依頼は必ずしも裁判になるとは限らず、業者とのやり取りだけで解決できる場合もあります。

相談時のほか、実際に解決に着手する場合は費用がかかります。着手した後の費用はサプリの代金を上回ることもあるので、金銭的な面では一考が必要になります。

②訴えることができる名目は?

業者の不法行為や契約が守られなかったことで損害を負ったときは、金銭的な賠償を求める「損害賠償請求」を起こすことができます。

たとえば、粗悪なサプリによって身体に悪影響があったことがわかった場合は、治療費などを請求することができます。

前の章で紹介した証拠をもとに、どのような被害があったかをまとめて、弁護士に相談しましょう。

③被害者が多ければ集団訴訟へ

たとえば、単価の安い商品で、業者の素性もよくわからない場合は「訴えるだけ費用もかかるし、誰を訴えればいいのかわからない」となってしまうことがあるでしょう。

しかし集団訴訟なら、弁護士に支払う着手金や手数料、その他諸経費を仲間と分担したり、相手について持っている証拠を持ち寄ったりすることで業者の全貌が見えることもあります。


4.まとめ

  • 「サプリ」と「健康食品」には明確な定義がないため、一定の品質や効能・効果が保証されないので注意が必要です。

  • 詐欺や健康被害があったら、サプリ現物を捨てずに相談窓口へ持参しましょう。

  • サプリは開封すると返品できないケースが多いので、注意が必要です。

おわりに

健康や美容を維持したいという思いは誰にもあるものです。

しかし、成分や効能に保証のない、特定のなにかの食品をずっと食べ続けているだけで、短期間で目に見える効果がすぐ出ることはちょっと考えにくいと思いませんか。

「サプリの効果が出ない」と考える前に、まずは食事や睡眠などを見直したりするところからはじめてみると良いかもしれません。

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