クレジットカードの詐欺被害は返金可能!2つの方法と申請手順を解説

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投稿日時 2019年01月09日 16時13分
更新日時 2019年09月05日 13時00分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • クレジットカード詐欺にあったときの対処法(返金方法)を知りたい人

  • 自分が引っかかったのはどの手口で、どうすればいいのかを知りたい人

  • 最近のクレジットカード詐欺の傾向を知りたい人

はじめに

クレジットカードの詐欺による被害が増加しています。

フィッシング対策協議会によると、2017年のカード不正使用による被害額は236憶4000万円と、前年の142億円から急増。

カード情報を盗み出すための本物と見間違えるほど精巧なサイトを作ったり、さまざまな電子マネーにカード情報を紐づけして不正利用を行ったりと、その手口も巧妙化・多様化しつつあります。

しかし、クレジットカードでの詐欺にあった場合でも、きちんと手続きを踏めばお金が返ってくることも。そこでこの記事では、クレジットカード詐欺に騙されてしまったときの返金手段を紹介していきます。

あわせて近年の傾向を踏まえた対策も紹介しますので、今後の対策としてみてください。

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1.騙された!と思ったらまずこれ!クレジットカード詐欺の返金手段2つ



「騙された!」とわかったとき、まず気になるのは支払ったお金の行方と、クレジットカード番号の不正利用である人がほとんどでしょう。

しかしこのとき、焦って真っ先に業者へ連絡を取ったりするのはNG。もっとも冷静さを欠きやすいときですが、ひとつずつ手続きをして、被害を最小限に抑えましょう。

こちらで、その手順を紹介していきます。

①まずはカード会社へ連絡

まずは、早急にカード会社へ連絡をしましょう。このとき、手元に使用したクレジットカード、購入日時がわかるもの、メールなどの通信記録、業者やサイトの名前がわかるものを準備して下さい。

ここでやるべき手続きは以下の3つです。

  • 支払い停止の手続きを取る

    詐欺などの不正利用でクレジットカードを他人に使われてしまった場合、条件によってその支払いを拒否できる制度があります。

    これは「支払い停止等の抗弁に関する手続き」といい、購入した商品やサービスが届かない、欠陥がある、見本やカタログなどと異なる、契約内容と異なるなどの問題が発生した際、その商品やサービスに対する請求を拒否できるものです。

    手続きの申し込みは書面になり、申請用紙は日本クレジット協会のウェブサイトにあります。

    ただし、金額は販売価格に分割払い手数料を加えた総額が4万円未満、リボルビング払いの場合は3万8000円未満のときは適用されないので注意しましょう。


  • カード番号や暗証番号の変更、再発行手続き

    念のため、カード番号を変更して再発行手続きを取り、元の番号が使えないようにしておきましょう。その際、暗証番号も元のカードと同じにしない方が安全です。

    また、再発行には手数料がかかることがありますので、カード会社に確認をしましょう。発行までは2週間程度かかるため、その際に引き落としが発生する場合は、その支払い手段も考えておく必要があります。


  • 盗難保険の届け出

    盗難保険は紛失・盗難をカード会社に届け出た60日前から、カード会社が損害を補償してくれるものです。もしも財布をすられたり、落としたりしてカードを紛失し、その結果カードが不正利用されたときは、カード会社へ届け出ると同時に警察への通報も必要ですので、忘れずに連絡を入れましょう。

    60日という期限があるため、毎月の明細をチェックしていないと気が付かずに期限切れになる場合もあります。月々の支払いは必ず確認をするようにしましょう。

    また、カード本体にサインをしていなかった場合は、所有者の不手際となり補償外です。このほか、家族や友人が自分名義のカードを勝手に使ってしまったことによる不正利用は補償されないこともありますので、注意しましょう。これは、顔見知りや身内との結託で盗難保険を悪用するケースを防ぐためのものです。


②そのほかの公的な窓口や相談機関、法的な支援

カード会社に連絡した後は、警察や消費者センターの相談窓口を利用して、今後の対策を考えるといいでしょう。

  • 警察に通報する

    警察への連絡は「通報」(具体的な被害が発生しており、事件性や緊急性があるもの)と「相談」(被害はまだ発生していないが不安があるなどの相談)の2つです。それぞれ番号が異なりますので、かけ間違えないよう注意してください。

    特に相談で110番通報をするケースが相次いでおり、警察が緊急性を要する別の事件の対応に遅れてしまうという事態が発生しています。相談は「#9110」です。

    実際に被害にあってしまったときの通報:「110」
    「怪しいけれど対処法がわからない」という相談:「#9110」

    さらに、警察庁のほか、都道府県警察では、警視庁大阪府警などが、フィッシング詐欺に特化した相談窓口を用意しています。インターネット上でクレジットカード情報を盗まれた可能性があるときは、こちらを利用してもいいでしょう。

    また、被害届の出し方はこちらでも解説しています。


  • 消費者ホットライン(国民生活センター)に連絡する

    消費トラブル全般の相談窓口として、国民生活センターが案内する「消費者ホットライン」があります。この番号は身近な自治体の消費者生活相談窓口を紹介してくれるもので、実際の相談は、紹介先の全国の消費者生活相談窓口が担当します。

    消費者ホットライン電話番号:188(いやや
    ※月~金は9~17時など、相談窓口によって異なります。土日祝は10~16時

    188につながらない場合の「平日バックアップ相談」:03-3446-1623
    ※月~金の10~12時、13~16時(土日祝・年末年始を除く)

    国民生活センターの利用方法については、こちらの記事も参照してみてください。


  • 弁護士に相談する

    法的な解決を目指すなら、弁護士に相談をしてみましょう。

    弁護士への相談はおおむね30分程度を目安に料金の基準を定めています。ですので、相談する際は被害のポイントを短くまとめておくと長い時間をかけずに話をすることができます。

    ・いつ
    ・どこで(サイトや店舗)
    ・どんな被害があったか(商品が届かない、カードを不正利用されたなど)
    ・被害額

    このほか、購入で使ったカード、不正があった金額のわかる明細書、メールなど相手業者とのやり取り、サイト名や店舗名がわかるものなど、関連するものも証拠として全て持参した方がスムーズです。

    弁護士への相談は費用がかかり、もしも本気で解決を目指すなら相談から先の費用や時間もかかります。被害額よりもはるかに高い金額がかかる場合もありますので、その辺りも考慮して話を進めていくのがいいでしょう。

    身近な場所に弁護士がいない場合は、法テラスや日本弁護士連合会(日弁連)を頼るのもいいでしょう。

    法テラスの利用については、下記の記事でも紹介しています。



  • 被害者が複数いれば集団訴訟も

    同じ業者から騙された人が複数いたことがわかった場合は、集団訴訟という手段もあります。

    個人では訴訟費用がねん出できなかったり、被害額が少なかったり、証拠がそろわなかったりして泣き寝入りするしかないケースが発生します。しかし被害者同士が協力することで、証言をより多く取りそろえることができたり、ひとり当たりの訴訟費用を安く抑えたりできるようになります。

    訴訟の仲間を募ることも可能ですので、自分以外の被害者に呼びかけるのもいいでしょう。


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2.巧妙化するクレジットカード詐欺…データで見る手口の傾向8つ



これまで、クレジットカード詐欺にあってしまったときの対応を見てきました。それでは今後、どのような点に気を付けてショッピングをしていけばいいのでしょうか。

最近の代表的な手口や傾向をまとめてみました。

①データで見る近年の傾向

近年のクレジットカード詐欺の被害をデータで見てみましょう。

まず、一般社団法人日本クレジット協会がまとめた2017年の不正使用による被害額は236憶4000万円と、前年の142億円から急増しました。

警察庁 による2017年末までのカード犯罪統計(キャッシュカードやプリペイドカード等も含む)でも、同年に認知件数が4622件まで増加しているなど、身近な犯罪になってきました。

主な原因は「パスワード管理の甘さ」「コンピューター計算によるカード番号偽造と総当たり」「フィッシングサイトの巧妙化」などが挙げられます。

さらに注目すべきは電子マネーにカード情報を連動させる不正利用が新たに発生したことで、今後のキャッシュレス化社会ではより注意が必要になるでしょう。


②代表的な手口とその特徴


  • フィッシング

    少し前までは、フィッシングメールやそのリンク先サイトの作りが荒かったり、日本語表記がおかしかったりするなどの見分け方が有効とされていました。

    しかし最近は偽サイトの作りが巧妙になっており、一見すると本物の通販サイトそのものに見えるなど、おかしな点が見当たらないことも増えてきています。また、本物のブランド名を騙るサイトからの被害も多いという報告が上がっています。

    正規サイトのURLと異なるURLではないかを確認した上で、身に覚えのないメールのリンクをクリックしない、ネットのバナーや広告をうのみにしないなどの自衛が必要です。

    フィッシング詐欺については、こちらの記事でもまとめています。


  • パスワード設定の管理の隙を突く

    フィッシング対策協議会が2018年に発表したデータでは、2016~17年の犯行の手口で最も多かったものが「利用者のパスワード設定・管理の甘さに付け込んだもの」でした。

    パスワード管理の基本では、簡単な文字の組み合わせのパスワードを設定していたり、複数のサイトで同じパスワードを使いまわしていたりすることは推奨されません。クレジットカード以外の個人情報も含めて守るためにも、今一度設定を見直しましょう。


  • 店員による盗み見

    店舗での買物中にクレジットカードで決済する際、店員がクレジットカード番号や客の暗証番号入力を盗み見たり、記録したりして不正利用する手口で、近年急増しているといわれています。

    カード番号、有効期限、裏面のセキュリティーコード(サイン部分にある3桁の数字)を入力すれば、本人でなくても決済が可能になるインターネットショッピングサイトが増加していることが、被害件数を押し上げているとみられています。

    店員にカードを渡す決済方法ではなく、自分自身がカードを端末に挿して暗証番号を入力したりする決済方法の方が安全です。番号入力の際は手で隠すなどの習慣をつけましょう。

    またカード会社によっては、カードを使ったらメールやSMSで通知が来るサービスがありますので、これを使っておくと身に覚えのない決済があってもそのときに通知が来ます。合わせて、毎月の明細も必ず確認するようにしましょう。


  • キャッシング枠を使った詐欺

    いわゆる「キャッシング枠の現金化」として、クレジットカードのショッピング枠の限度額内で商品を購入し、それを業者に売ったり、指定業者からクレジットカードで購入した後に現金振り込まれるなどで換金する方法があります。詐欺は、この商品購入後に現金が振り込まれなかったり、換金率が極端に低かったりするものです。

    そもそも現金化自体がカード会社の規約では禁止事項とされていますので、現金化に手を出さないことです。


  • スキミング

    クレジットカードの情報を抜き取って不正利用や偽造に使うものです。

    ICチップや生態認証のクレジットカードが増加してきたことにより、磁気のみのカードだった頃より安全性は上がっています。しかし、クレジットカード協会のデータでは、カードの偽造件数が少なくとも4年連続で増加しており、2017年の被害額は31億円超と、前年より1億円増えています。


  • コンピューターウイルス

    ウイルスに感染したパソコンを利用することにより、入力したカード情報をキータッチから盗まれたり、偽のサイトに誘導されたりしてクレジットカード情報を抜き取られることがあります。


  • カード番号を作り出し、総当たりで入力

    クレジットマスター」と呼ばれるもので、コンピューターによる自動計算でクレジットカード番号の並びを作り出し、「使える」番号が出るまで総当たり入力を繰り返すものです。勝手に計算されて当たってしまうと不正利用となるため、防ぐことが難しいともいえます。

    さらに、「使える」番号データを電子マネーに連動させる不正利用もあり「登録した覚えがない電子マネーからの引き落としがある」という事態も発生しています。


  • カード本体を盗まれたり、人に貸してしまったりした

    貴重品の管理が甘かったり、友人や身内、パートナーなどに頼まれて自分名義のクレジットカードを貸してしまったことによるトラブルは依然として発生しています。

    「どうしてもと言うのでつい」というのは要注意。自分名義のカードは絶対に他人に使わせないようにしましょう。個人情報漏えいのほか、思わぬ金銭トラブルの元でもあり、カードの盗難保険も適用外です

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3.「怪しいな」と思ったら!今後チェックしたい6つのポイント



これまで近年の動向を踏まえてクレジットカード詐欺の現状を見てきましたが、今後は信頼できるサイトで買い物をするために、どうやって身を守ればいいのでしょうか。

チェックポイントを見てみましょう。


①騙されないためのチェックポイント6つ


  • サイト運営者や連絡先がきちんと表示されている?(架空の住所である可能性もあります)


  • URLが本物の企業公式サイトやショッピングサイトと異なっていない?(「.co.jp」が「.com」になっているなど)


  • 身に覚えのないメールのリンクから飛べるサイトではない?(知らないDMや届く予定のない宅配便のものなど)


  • 購入する商品の広告には、クーリング・オフや特定商取引法に基づく表記はある?(返品や引渡し時期、事業者の連絡先など)


  • パスワードが簡単な文字列で、ずっと変更をしていなかったり、他サイトと使いまわしたりしていない?


  • 自分以外がそのクレジットカードを使ったりしていない?


少しでも怪しいと思ったら情報を入力せず、他のサイトや方法で購入ができないかも検討した方が安全です。

それでも迷ったときは、前の章で紹介している消費者センターや警察などの相談窓口に問い合わせたり、サイトや業者名を改めて検索したりして確認してみましょう。もしかすると、誰かが被害報告をネットで発信しているかもしれません。

また、消費者庁の「公表資料」には、過去になんらかの問題があった業者の行政処分などの状況が社名付きで公開されています。気になる人はこちらも参照してみましょう。

4.まとめ

  • 「騙された!」と思ったら、まずはカード会社に連絡をして下さい。


  • 消費生活相談窓口や警察の相談窓口を利用して、被害後に取るべき手段を確認しましょう。


  • そのサイト、大丈夫? 今度は騙されないように、少しでも怪しいと思ったら利用を止めましょう。

おわりに

データにも表れている通り、クレジットカード詐欺の被害が増加し、手口も巧妙化の一途をたどっています。これまで騙されなかった人でも「これは見抜けなかった……」となることが少なくありません。

新たな手口はネットでも話題に上りやすかったり、ニュースにもなったりするもの。最新の動向には常に気を配りつつ、ショッピングを楽しむようにしましょう。
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