セクハラ慰謝料の相場を解説!5つの事例&訴訟の手順もあわせて紹介

2018年12月06日 10:43:00労働問題

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • これからセクハラ被害について訴えようとしている人

  • 自分が受けたセクハラの慰謝料の相場を知りたい人

  • 弁護士費用も含め、訴えるための資金の準備をしたい人

はじめに

セクハラの被害を受け、法的手段に訴えることを考えている……。 そんな場合に気になるのが「慰謝料」。その額の目安は、受けた被害の内容などによって変わってきます。

この記事では、事例をもとにセクハラ慰謝料の相場をケース別に紹介。

また同時に、実際に訴訟に踏み切った場合の費用の目安や、準備するべきものなどについてもあわせて解説していきます。

1.ケース別にチェック!セクハラ慰謝料の相場を解説



慰謝料とは、被害者が受けた精神的な損害に対する賠償金のこと。

その金額は、受けた被害の内容によって変わってきますが、大まかなパターンとして、

①精神的なショックを受けた
②うつ病などの治療が必要になった
③退職を余儀なくされた


の3つがあげられます。

それぞれについて、事例をもとに慰謝料の額をみていきましょう。


①精神的なショックを受けた

まずは、嫌がらせによる精神的なショックに対し、慰謝料の支払いが認められた事例をご紹介します。

  • 事例

    大阪市の中学校に勤務する男性教諭が、自分の業務を新たに赴任した女性教諭が担当することに嫉妬。職場内外で他の同僚に向けて「生徒に厳しく当たるのは性的不満があるから」などといった発言を繰り返した。

    女性教諭はこれを嫌がらせとして慰謝料100万円を請求した。


  • 結果と慰謝料など

    嫌がらせによる人格権の侵害にあたるとして、男性教諭に慰謝料の支払いが命じられました。

    しかし一方で、最終的な金額は30万円まで減額されています。女性教諭が他の職員たちと良好な関係を築いていたわけではなかったことから、男性教諭の発言が嫉妬のみによるものではないと判断されたためです。


②うつ病などの治療が必要になった

精神的被害により通院などが必要となった場合、慰謝料額も多くなる傾向にあるほか、医療費もあわせて請求することができます。

  • 事例

    学校の事務職員が上司からセクハラを受け、適応障害に。勤務先の校長に相談するも、「職務外のことは2人で解決すべきで迷惑」と相手にしてもらえず、加害者からは相談したことについて責め立てられるなどの非難を受けた。

    女性側は医療費1万7630円および慰謝料500万円、弁護士費用50万円を請求した。


  • 結果と慰謝料など
    認められた請求額は合計71万円。その内訳は慰謝料60万円、医療費1万7630円、弁護士費用10万円でした。

    原告女性が校長に相談した際、加害者の具体的な懲戒処分や配置転換などを申し出たわけではなかったことが、校長の解決のための十分な判断材料にはなり得なかったと判断されています。


③退職などを余儀なくされた

もしセクハラによって退職などを余儀なくされた場合、セクハラがなければ本来得られたはずの収入(逸失利益)を加味して請求することができます。

  • 事例

    銀行員であった被害者が、加害者である支店長から意に沿わない食事に誘われた上、胸を触られるなどのセクハラを受け、嘔吐や難聴症状をきたすなど心身に不調をきたした結果、職場を退職せざるをえなくなった。


  • 結果と慰謝料など
    京都地裁より、加害者には被害者が本来得られるべきだった年収、弁護士費用などを含めた676万8960円の支払い命令が下りました。内訳は、慰謝料が150万円、弁護士費用が60万円、逸失利益は466万8960円となっています。

いかがでしたでしょうか。

事例からそれぞれのケースの慰謝料額の相場をまとめると、以下のようになります。

精神的なショックを受けた 慰謝料30万円
うつ病などの治療が必要となった 慰謝料60万円+医療費
退職などを余儀なくされた 慰謝料150万円+逸失利益

一方で、過去の事例には「セクハラの解決に動かなった」として職場の責任を追及したケースや、逆にセクハラが認められなかったケースもあります。次の章でくわしく解説していきましょう。

2.企業の不備や自身の落ち度がある場合など、様々な事例



①企業の不備

前章で紹介した中学校のように、勤務先企業などが被害者の相談に適切な対応を取らなかったケースについて、企業側の責任が認められた事例を紹介します。

  • 事例

    ある企業の男性社員が、女子更衣室に隠しカメラを設置し盗撮。これに気づいた幹部はカメラの向きを変えるのみで、真相解明や再発防止などの適切な措置を取らなかったため、社員の盗撮は続いた。

    男性社員は懲戒解雇されたが、原告の女性社員が「(勤務先を)好きになれない」と発言したことに対し、幹部がこの女性社員と解雇された男性社員が男女の関係にあったかのような発言をし、さらに女性に勤務を続けるかどうかを考えるよう促した。

    会社にいづらくなった女性社員は退職。その後、同幹部や会社などを相手取り、およそ620万円の請求を行った。


  • 結果と慰謝料など

    女性社員が退職する直接の原因となった幹部はもちろん、会社側も盗撮行為の再発防止や原因究明に動かなかったとして、責任が認められました。女性への逸失利益として約79万円のほか、慰謝料100万円、弁護士費用15万円の支払いが命じられました。

    「会社側がセクハラを防止する義務を怠った」として、慰謝料が認められた形となります。

②拒否をしなかった場合はどうなるの?

セクハラ訴訟では「拒否がなかった」「同意の上だった」として、セクハラの事実が認められなかったことが多くありました。

しかし近年になり、たとえ同意があった場合でも、「上下関係を理由に断れなかった」としてセクハラが認められるケースが増えています。

代表的な事例を紹介しましょう。

  • 事例

    ある女性社員が、営業所長の上司から事務所で抱きしめられ、20分以上も性的な行為を受けた。さらに女性が会社に被害を訴えたところ、この上司は女性に嫌がらせを行い、女性は退職を余儀なくされた。

  • 結果

    最初は、20分間も行為を受け続けたにも関わらず逃げなかったことや、行為を受けたあとも通常通り出社していたことなどから、女性の供述が信用できないとしてセクハラ被害が認められませんでした。

    しかし、この判決を受けて女性が控訴。続く東京高等裁判所では、職場の人間関係に波風を立てたくない、という気持ちが抵抗に消極的にさせることは不自然ではないと認められ、最終的に上司と会社に対し慰謝料250万円と弁護士費用の支払いが命じられました。



3.訴訟の手順と集団訴訟の視野



これまでさまざまな事例を紹介してきましたが、セクハラが認められるためには、証拠集めなどの事前準備が必要です。

この章では、セクハラで訴訟を起こす際に準備するためのポイントについて解説をしていきます。

①訴訟に踏み切るには

すでに弁護士への相談を視野に入れている人は、準備段階としてまずはセクハラにあった被害の証拠を集めましょう。

自身の思い込みではないことを示せる、客観的かつ具体的な内容が必要になります。多ければ多いほど確実になりますし、多少不確かなものでも数があれば証拠となる場合もあります。単体でははっきりそれとわからないものでも、手元に残しておきましょう。

  • セクハラ行為がわかる通信記録(メールやチャット、メモなどの書面)

  • 音声記録(スマートフォンやICレ小型コーダーを利用して会話を録音)

  • 協力者をつのる(自分が被害を受けていたことの目撃証言を日時付きで)

  • データはバックアップやコピー、プリントアウトも取っておきましょう。また、職場のパソコンなど自分以外が管理できる場所には保存しないようにしましょう。


②弁護士を探す

ある程度の証拠がそろったら、訴訟を手掛けてくれる弁護士を探しましょう。第三者である弁護士には事情を詳しく説明する必要があるため、証拠があった方が話をしやすくなります。


都道府県別にリンクがあるので、自分の身近な場所で相談できる弁護士を探すのに便利です。


経済的な理由で相談することが難しい場合、まずはこちらを頼りましょう。無料法律相談があります。

  • 金額
  • 法テラス以外で弁護士を頼る場合、相談30~60分で5000円程度が見込まれます。実際に訴訟に踏み切ると決まれば、着手金20万~50万円程度が相場です。

また、これまでの章で紹介したように、裁判で慰謝料に加え弁護士費用を請求できるケースもありますが、弁護士への成功報酬として、慰謝料の15~30%が発生すると考えておきましょう。 ※ただし、基準は弁護士事務所によって異なるので、この金額はあくまでも目安です。

③セクハラも集団訴訟へ

他人に被害を言いにくかったり、男女の関係を求められることが多いセクハラ訴訟は、被害者が単独であることがほとんどです。

しかし昨今では、セクハラも集団訴訟で被害者が加害者に立ち向かうケースが出てきました。米国では最近の「#metoo」運動をはじめ、90年代からセクハラの集団訴訟の事例があります。

一方、日本では前の章で紹介した広島生保セクハラ事件(2007年)よりも前に、2002年に複数の被害者が訴えを起こした 「岡山派遣会社セクハラ事件」 がありますが、このように集団訴訟に踏み切る例はまだ多くありません。

  • 事例

    この事件は、派遣会社の幹部男性1から、支店長の女性1が性的関係を迫られ、その相談に乗っていた別の女性2も幹部男性1から女性1との関係を取り持つよう要請されたり、被害を訴えた幹部男性2からも言葉によるいやがらせ(「再婚しないのか」など)を受けていたもの。

    企業としてセクハラに対応しなかったうえ、女性2人は降格や減給・給与未払いに追い込まれていた。

  • 結果

    企業側に約1500万円の支払い、男性1は女性1に対し約220万円、女性2に対し約330万円の支払いが命じられた。幹部男性2の発言は違法性がないと判断されました。

    加害者が所属集団の中で力を持っている場合、この事例のように被害者が1人にとどまらなかったり、性的被害のほかにもパワハラを含めた加害行為(逆らうと降格や左遷をちらつかせて脅すなど)におよぶ可能性は十分にあります。

4.まとめ

  • セクハラ訴訟の慰謝料は被害内容によって大きく変わる。特にうつ病などの治療が必要となった場合や、退職などを余儀なくされた場合は高額となる傾向に

  • セクハラを拒否できなくても、セクハラ被害として認められるケースも近年増加している

  • セクハラが認められるには証拠などの事前準備が必要。集団訴訟も検討してみよう

おわりに

セクハラは心身ともに疲弊するもの。尊厳を踏みにじられたことに声をあげるのは、大事な権利のひとつです。

この記事が訴訟の一歩を踏み出す後押しとなれば幸いです。

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