悪徳商法の手口が一目でわかる!代表的な10種類の事例&対処法を紹介

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投稿日時 2018年10月04日 19時35分
更新日時 2018年10月04日 19時35分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 怪しい契約をしてしまい、悪徳商法ではないかと疑っている人

  • 訪問販売や電話勧誘が頻繁に来て困っている人

  • 最近一人暮らしをはじめたばかりという人

はじめに

違法な行為で、消費者が不利益を受けるような商品、サービスを提供することを「悪徳商法」または「悪質商法」といい、全国で被害が相次いでいます。

訪問販売やキャッチセールスで高額な商品を売りつけられたり、詐欺の手口で金銭を騙し取といったものが挙げられます。

もし「被害にあったかも」と思った時は、消費生活センターや警察へ早めに相談をし、判断を仰ぎましょう。こうした機関を頼ることで、返金や返品の手続きがよりスムーズになる場合もあります。

今回は、悪徳商法の種類・手口とその対処法をみていきます。当てはまるものがあるかどうかの判断材料するとともに、記事中の対策も参考にしてみて下さい。


1.ひと目でわかる!悪徳商法10の手口



まずは、代表的な悪徳商法の手口を表にまとめて紹介します。

不審な業者とやりとりをしている場合は、このいずれかに当てはまらないかどうかをチェックしてみてください。

名称 特徴
①資格商法 「就職には資格があると有利」などとして教材やセミナーをすすめる商法
②点検商法 家の設備を点検するとして訪問し、不備を理由に工事などを勧める商法
③原野商法 価値の低い土地を「将来値上がりする」として高値で買い取らせる商法
④デート商法 デートなどを通じて恋愛感情を起こさせ、高額の商品を売りつける商法
⑤霊感商法 霊や先祖のたたりと言って不安を煽り、物品や祈祷などをすすめる商法
⑥マルチ商法 会員が商品の販売員となり、新たに販売員を勧誘すると報酬が得られる商法
⑦利殖商法 「必ず儲かる」としてリスクの高い未公開株や為替取引の出資を求める商法
⑧内職商法 「在宅で誰でもできる仕事」と勧誘し、登録料や道具代を請求する商法
⑨催眠商法 展示会などで人を集め、断りづらい空気を作って高額商品を買わせる商法
⑩送りつけ商法
(ネガティブ・オプション)
頼んでいない商品を送り、問い合わせてきた相手に「金を払え」と迫る商法

以下、それぞれの項目について、くわしい手口の特徴と、実際の事例を紹介していきます。

①資格商法

  • 手口の特徴
    「資格を取れば就職に有利になる」「この講座を受けるだけで簡単に合格する」などとして、教材や講座を高額で販売する商法です。電話による勧誘が主な手口で、就職不安を煽って購入させるケースが多く見られます。主な被害者層は、20~30代の学生や若手社会人、主婦などです。

    売り込む資格に関しては、建築士、行政書士、電気主任技術者などの国家資格に関するものが多い傾向にあります。

  • 事例
    就職が内定した20代男性が学生時代に、建築士の資格予備校業者に声をかけられ、総額約163万円の講座を契約。

    開設された講座は授業数が少なく、インターネット配信の授業も動画が再生できない、契約時に「新設校ができる」と言われたのに設置がなかった、などの理由で解約を求めたところ、約70万円を請求された。2018年8月掲載の事例。

    参考:国民生活センター

②点検商法

  • 手口の特徴
    屋根や床下などに「欠陥がある」と称して点検費や工事費をだまし取ったり、必要な機器を買わせたりするもので、高齢の年金生活者が狙われるケースが多くみられます。このほか、実際には全く関係がないのに「消防署の方から来ました」などと紛らわしい言い方で、消火器を売りつけたりする「かたり商法」の手口も見られます。

  • 事例
    70代女性の事例。自宅に突然「浄水器を無料で点検する」と業者から電話があり、見てもらったところ「浄水器が壊れているので交換した方がいい。きょうまでなら45万円のところを30万円」としつこい勧誘を受けた。

    結局購入してしまったものの、そもそも本当に壊れていたか疑わしく、30万円は高額ではないかと思い公的機関に相談。クーリング・オフをするようアドバイスを受けた。2008年以降の事例。

    参考:中部経済産業局

③原野商法

  • 手口の特徴
    価値の低い土地を「将来に駅ができて便利になり、必ず値上がりする」などと騙して買い取らせるほか、その土地を買い取るふりをしながらさらに別の土地を買わせたり、「既存の土地の測量をする」と手数料をだまし取ったりする手口。国民生活センターの統計では、60~70代の事例が6割、また無職である人の相談が5割となっています。

  • 事例
    60代女性が見知らぬ業者から「オリンピックまでにレジャー施設を作る」と、相続した土地の購入を持ちかけられる。買取の際に女性が別の土地を購入することを税金対策として勧められ、約400万円を支払ったところ、業者に連絡がつかなくなった。

    契約書では元の土地を約1200万円で売却、原野を1600万円で購入したことになっていた。2017年5月に国民生活センターで相談受付。

    参考:国民生活センター

さらに具体的な手口や事例は、下記の記事も参照して下さい。


④デート商法

  • 手口の特徴
    男女の恋愛感情を利用し、仲良くなった相手に金融商品の投資やマンション、高額な宝石購入などをさせるという手法です。被害者の多くは20~30代。近年になり、成人後の女性が被害者になるケースも目立ちはじめています。婚活サイトや婚活アプリ、SNSの普及にともない、まずはウェブ上で交流を重ねて親しくなり、警戒心をなくさせる手法も多くなりました。

  • 事例
    20代女性が電話で知り合った男性と打ち解け、パールのネックレスの購入を勧められる。店の販売員からも勧められたが、断ろうとすると急に態度が変わり、仕方なく約110万円で購入。

    その後もパーティーに呼ばれ、もう宝石は買わないつもりでいたものの、約90万円のダイヤのネックレスを購入してしまった。2003年の事例。

    参考: 国民生活センター

さらに具体的な手口や事例は下記の記事も参照して下さい。


⑤霊感商法

  • 手口の特徴
    水子の霊や先祖などの祟りや占い、宗教などをかたる商法です。悩みがある人の心理につけ込み、「このままでは危険だ」などと不安を煽った上で、壺や印鑑、掛け軸、除霊グッズなどの販売、サロンへの参加、「祈祷をすれば助かる」と高額な祈祷料の請求などを行います。若者から高齢者まで幅広く被害が広がっています。

  • 事例
    既婚女性(30代半ば)が2007年頃から生活面などで不安な状態になり、自称スピリチュアルカウンセラーでサロンの主催者である者の占いやサロンに参加。その後、夫を伴い「除霊」に参加し、650万円を支払った。

    女性は2012年に損害賠償を求めたが、主催者が応じなかったため提訴。不安心理につけ込んで支払わせる金額としては高額であることが問題視された。2017年10月公表の事例。

    参考: 国民生活センター

さらに具体的な手口や事例は下記の記事も参照して下さい。


⑥マルチ商法

  • 手口の特徴
    若者を中心に被害者がいる手口です。人脈を利用して無理やり高額の商品を買わせたり、販売員として強引に勧誘して入会金を払わせるという形の販売形態で、違法ではないものの、家庭や人間関係の崩壊を招きがちという問題があります。また実際に儲かるのはトップの一部のみであり、末端の販売員には儲けがほとんどありません。

  • 事例
    20代学生。大学の先輩から「いいバイトがある」とカタログ販売の代理店事業を紹介され、34万円を支払って登録した。資金は金融機関で、学生ローンを組んで調達。しかし誰も勧誘できずに「2か月で取り戻せる」と言われた資金は回収できず、ローンが残ってしまった。

    参考: 京都府消費生活安全センター

さらに具体的な手口や事例は下記の記事も参照して下さい。


⑦利殖商法

  • 手口の特徴
    高齢者に被害が多い商法で、いわゆる「投資詐欺」などを指します。金融商品や未公開株、先物、外国為替などの取引などを持ち出して「絶対に損をしない」「元本は保証」「必ず儲かる」などと不確定なものを断定的な表現でかたり、投資資金や手数料を騙し取るものです。

  • 事例
    60代女性が、突然自宅を訪れた業者に「CO2の排出権取引に興味はないか」と話を勧められた。「原発事故後で火力発電が中心になる」と言われたこともあり180万円を支払ったが、後日「価値が半減した」としてさらに追加金180万円を要求された。また実際の取引に関して、事前に何も連絡を受けていなかったことも問題となった。2011年9月の事例。

    参考: 国民生活センター

さらに具体的な手口や事例は下記の記事も参照して下さい。


⑧内職商法

  • 手口の特徴
    「仕事をあっせんする」と言う理由で業務に必要な物品を購入させたり、自腹で商品を購入させて販売させたりするほか、教材費、レッスン料、手数料など様々な名目で金銭をだまし取ったりするもので、最近ではインターネットサイトのアフェリエイト作成が台頭し、若者に被害が増えています。よく「在宅ワーク」「副業」などの名目で募集しているのがみられます。

  • 事例
    若者からの相談。広告を見て「紙ふぶきを制作する内職」に応募したが、事前の登録料3万円が必要と言われた。登録すれば、B5の紙500枚分で6万円の収入になるという。契約はしていないが、心配が残る。2018年3月掲載の事例。

    紙ふぶきの内職は報酬の支払いについて相談がほかにもあり、「予想以上の枚数なのでやめたい」などの相談もある。

    参考: 神奈川県ウェブサイト

さらに具体的な手口や事例は下記の記事も参照して下さい。


⑨催眠商法

  • 手口の特徴
    高齢者、特に女性で多発しているトラブルです。事業者が無料の商品をばらまくなどして客を呼び寄せ、展示会式の会場で商品を勧められたり、興味のある面白い話を聞かせて信頼させ、高額な商品を買わせる手口です。話を聞いているうちに断りづらくなったり、何度も会場に足を運んてしまい、販売員に言いくるめられるケースがあります。

  • 事例
    80代の女性が次々に高価な商品を購入していることを家族が発見。女性は5年以上にわたり、「親切にしてくれる」という販売員から商品を購入しており、支払額は合計3000万円にのぼった。本人は「自分の意志で契約した」としていたが、説得後に解約や返品することを決め、。販売業者と交渉。契約後1年以内の未使用品など一部を解約した。2016年6月掲載の事例。

    参考: 国民生活センター

⑩ネガティブ・オプション(送りつけ商法)

  • 手口の特徴
    健康食品や書籍、カレンダーなど注文した覚えがない商品を「購入した」と前触れなく突然送りつけられたり、電話での勧誘を断ったのに商品が届いたり、また法外な代金を支払うよう請求書や現金封筒、振込用紙が荷物に同梱されていたりするものです。断るとさらに脅しをかけられたりします。被害者の多くは高齢者で、認知症をわずらっているケースも見られます。

  • 事例
    80代女性に見知らぬ業者から「健康食品を送る」と連絡があり、断ると「キャンセルできない。申し込みの会話を録音しているので、裁判にかけると36万円かかる」と脅された。送料1000円を支払い受け取ったところ、商品の代金4万円の現金書留封筒が同梱されていた。年金が入ったら代金を支払うよう連絡があり、電報で催促までされている。2013年に掲載。

    参考: 国民生活センター


2.悪徳商法に対処するには?状況別対処法



それでは、実際に悪徳商法に出会ったり、勧誘されそうになったりした時はどうすれば自分自身を守れるのでしょうか。以下で有用な方法をみていきましょう。

①購入する前に「怪しいな」と思ったら

  • 会社名などを検索し、実在する会社かどうか、問題のある会社かどうかを調べる

    会社名、住所、代表者氏名などをインターネットで検索してみましょう。実在する企業や、架空の住所でないか、代表者名がその企業の代表として出てくるか、企業の評判はどうかなどをある程度調べることができます。この段階で住所や会社名が存在しなかったりする時は、疑ってかかる方がいいでしょう。

    会社登記があり、法人番号のある企業は国税庁のサイトから会社名や住所で検索できます。実在するからといって信用できるとは限りませんが、ある程度の目安にはなります。

    国税庁法人番号公表サイト

    このほか、消費者庁は「法令に基づく行政処分」として、特定商取引法や景品表示法上で問題のあった事業者名や代表者の氏名、商品名などを公表しています。ここを参照すれば、過去にトラブルがなかったかを調べることが可能です。

    法令に基づく行政処分(消費者庁)

  • 電話勧誘、訪問販売、キャッチセールスなどは基本的に信用しない

    見知らぬ人からの突然の電話や訪問、声かけなどで勧誘されるものは疑ってかかる方が良いでしょう。

    また、ツイッター、フェイスブック、LINE、インスタグラムなどSNSやそのメッセージツールを通じて来た見知らぬ人からの勧誘(「副業をやりませんか?」「あなただけに教える儲かる話があります」等)は信用に欠けるため、コメントの返信やダイレクトメッセージのやり取りをしたり、個人情報を明かしたりしないようにしましょう。怪しいアカウントはスパム報告やブロックツールを活用するのも手です。

  • きっぱりと断る

    本当に必要がない商品やサービスに関しては「いりません」「必要ありません」ときっぱり断りましょう。この場合、誤解がないように「いいです」(「良いです」と取られる場合がある)、「今はやめておきます」(後でならOK?)など、相手に付け込まれる返事をしてはいけません。

    特定商取引法では、訪問販売やキャッチセールス等において、契約締結の意志がない相手や、一度断られた相手を再勧誘することを禁じています。

  • 身の危険を感じた場合は警察に通報

    上記のようにはっきりと断っているのにしつこく勧誘をされたり、「家に行く」「買うまで帰らない」などの脅迫行為で身の危険を感じた時は、可能であれば証拠を録音し、警察に通報して安全を確保しましょう。「帰って欲しい」と要求しているのに帰らない場合も「不退去罪」という犯罪行為になる可能性があります。

②購入したあとに悪徳商法だと気づいたら

残念ながら購入や契約をしてしまった後に「悪徳商法だった」と気づいた時には、以下の方法から解決を試みましょう。

  • クーリング・オフ

    強制や不意打ち、騙し討ちなど、消費者が意に沿わない形で商品購入やサービスの契約を締結してしまった時に、消費者側から理由を問わず一方的に購入や契約を解除できる制度です。

    クーリング・オフの手続きには期限があり、訪問販売の場合は購入や契約締結から8日間(購入・締結日を含む)となっていますので、発覚したらとにかく早めに行動を開始しましょう。

    下記の記事で、詳しい手順などを紹介しています。

    クーリング・オフとは?詳しい内容や期間、手続きの方法を徹底解説!

  • 契約解除や返品交渉

    相手業者に契約解除や返品交渉を持ちかけてみましょう。相手側に特定商取引法上の違反行為(困惑させる行為や事実ではない内容を告げるなど)があれば、上記のクーリング・オフ期限を過ぎていても契約解除を申し入れることができます。

  • クレジットカード払いの返金方法

    また、代金をクレジットカード払いにしている時は、信販会社(クレジットカード事業者)に対し「支払い停止の抗弁」を申し入れることができます

    これは金銭を支払った先の販売業者の商品やサービスの提供について何らかの問題があったり、そもそも提供がされないなどの事態が発生した時に、消費者が支払い請求の停止を信販会社に求められる制度です。クーリング・オフの場合でも、販売業者とともに信販会社への通知も必要になります。

  • 悪質な場合は警察へ被害届を提出

    業者側がそれでも不誠実な対応をしてきたり、脅迫を受けるなど自分自身に身の危険が迫った場合は、ためらわず警察へ被害届を提出しましょう。

    具体的な方法については、下記の記事も参照してみてください。

    警察に被害届を出すには?必須項目&不受理となるポイント3つを解説

③困ったときの相談窓口

このほか被害を相談したり、情報提供をしたりする際には、下記の団体や公的機関等を利用するといいでしょう。

  • 消費者ホットライン

    消費者庁が全国829か所の消費生活相談窓口を紹介するサービスがあります。電話番号「188(いやや)」から最寄りの自治体の消費生活センターや国民生活センターを案内します。

  • 日本訪問販売協会

    訪問販売の自主規制団体です。訪問販売に関する相談を受け付ける「訪問販売ホットライン」の電話番号「0120-513-506」が設置されており、消費生活アドバイザーの資格を持つ専門員が相談を担当します。

    ここで問題が解決しない場合は、裁判外紛争処理機構(ADR)にて解決を目指す場合もあります。

  • 警察の相談窓口

    警察署の緊急性を持たない事件・事故以外の相談は、電話番号「#9110」で受け付けています。相談の際はいきなり110番通報をせず、こちらにかけるようにしましょう。専門の相談員が対策についてアドバイスをしたり、関連する公的機関への紹介などをしてくれます。

    このほか、最寄りの警察署の窓口で直接相談することもできます。

    都道府県警察本部

    ほとんどの都道府県警のサイトでは悪徳商法についての注意喚起や事例、対策についての特設ページがあるほか、神奈川県警大阪府警など、一部の都道府県警によっては悪徳商法に特化した電話相談ダイヤルを設けている所もあります。全ての警察本部に設置されているわけではありませんが、最寄りの警察本部のサイトで確認してみるのもいいでしょう。

  • 弁護士、法テラス

    トラブルを法的に解決するなら、弁護士に相談をしましょう。
    最寄りの弁護士を探すには、日本弁護士連合会のサイトから検索できます。

    日本弁護士連合会(日弁連)

    ただし、弁護士への相談や実際の手続き上、訴訟になった場合には費用が発生します。諸経費が被害額を上回ったりすることもあり得ますので、注意が必要です。

    資金面に不安がある時は、法テラスで無料相談や費用についての相談もできますので、検討すると良いでしょう。

    法テラス


3.まとめ

  • 見知らぬ人からの儲け話や購入の誘いには乗らない

  • 怪しい話は企業名などを調べ、必要がなければきっぱりと断る

  • 万が一、購入や契約をしてしまったらクーリング・オフや警察などへの相談を

おわりに

あの手この手で消費者を騙し、金銭を巻き上げようとする悪徳商法。全国の警察署が注意喚起をサイトに掲載しているほど、身近な存在であることがわかります。特に高齢者や一人暮らしでは、家族も不安が絶えないかもしれません。

業者の正体を見極め、必要がないものやよくわからない物は断る勇気を持ち、周囲の人にもよく相談をして対処をしましょう。


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