遺品整理で詐欺にあわないようにする為には?よくある手口3つを紹介

このエントリーをはてなブックマークに追加
投稿日時 2019年06月17日 13時57分
更新日時 2019年06月17日 13時57分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 遺品整理業者を利用したいが、詐欺が多いと聞いている人

  • 悪質な遺品整理業者の特徴や見分け方を知りたい人

  • 悪質な遺品整理業者に騙された場合の対処法を知りたい人

はじめに

高齢者の増加に伴い、遺品整理の需要も高まっています。業者に依頼することで家族の負担を軽減することができますが、その一方で悪質な業者による詐欺が問題となっています。

見積もり段階にはなかった高額な追加料金を請求されたり、貴重品の盗難が発生するなどの被害が発生したりしています。

そこで今回は、遺品整理で詐欺にあわないためにどうすればいいのか、詐欺のよくある手口とあわせて解説します。

集団訴訟プラットフォームのenjinに被害を報告しよう

どんな被害がありましたか?

報告窓口はここをクリック


1.悪質な遺品整理業者って?よくある特徴はこの3つ



まずは、どのような遺品整理の詐欺があるのか確認しておきましょう。手口を知ることで、詐欺にあう前に対処することが可能です。

2018年7月に国民生活センターが発表した「遺品整理サービス」に関する相談情報では、遺品整理のトラブルついての相談内容は、「契約」「価格」「販売方法」の順に多くなっているということがわかっています。

遺品整理の詐欺でよくある手口は次のとおりです。

①事前に言われていない料金を取られた

遺品整理を業者に依頼する場合はまず見積もりを取りますが、見積もりと実際の請求額は、多少変動することはあっても、事前の予告なく数万円単位で大きく変動することは、一般的にほとんどありません。

見積もりの時点では「●万円で作業できる」と言われたのに、次々と料金が加算されて、最終的にそれよりも高額な料金を請求されたり、キャンセルについての料金の有無についての説明がなかったりする場合があります。

②強引な「押し買い」をする

自宅を訪問し、遺品整理の契約をする際に、金品などの遺品を強引に購入していくのが「押し買い」(訪問購入)ですが、これも悪質な遺品整理業者のよくある手口として知られています。

2018年7月に国民生活センターが発表した「遺品整理サービス」に関する相談情報によると、遺品整理業者の契約は、チラシなどを見て業者に連絡し、自宅で契約する「訪問販売」が最も多くなっています。このとき、遺品整理のサービスを「販売」するのと同時に、依頼者の遺品を「購入」していくという手段を取っているということになります。

買い取らせるよう会話で仕向けたり、「今売らなければ価値が下がる」などと騙して、遺品を売るように仕向けたりします。高級腕時計や骨とう品、貴金属などが狙われやすいようです。

③勝手に色々なものを処分された

遺品整理では、必要なものと不要なものを仕分け、不要なものの回収を業者に依頼します。

しかし、必要なものを処分したり、家族に遺しておきたい品や貴金属、骨とう品などを勝手に処分または回収・売却してしまう悪質業者も。思い出の品や形見は金銭で弁済できないものなので、金銭的な被害のほか、精神的なショックも受けてしまうというケースです。


2.トラブル回避はどうすればいい?信頼できる業者の見分け方4選



これまでみてきたトラブルを防ぐには、信頼できる遺品整理業者を探して依頼することがひとつの方法として考えられます。

トラブルが多いことには、無許可の業者が業界に参入していることが関係しているとみられているほか、依頼者と業者の事前の打ち合わせや契約内容に関する合意にも問題があることも。

ここでは、トラブル回避方法について、具体的に解説していきます。

①自治体が許可していない回収業者を使わない

家庭ごみの運搬や廃棄には、自治体からの家庭系(生活系)一般廃棄物収集運搬の許可が必要です。

許可は自治体に申請する必要がありますが、すでに既存の業者が複数ある場合は、許可の要件を満たしていたとしても必ず認められるとは限りません。

そのような事情から、「自治体の許可がある」というのは遺品整理業者の質を見分けるポイントにもなります。

中には例えば「産業廃棄物収集運搬業許可がある」とする業者があったりしますが、この場合は家庭ごみの運搬と回収はできません。

どういうことなのでしょうか。下記の表を見てみましょう。

許可・資格など できること・できないこと
産業廃棄物収集運搬業許可 店舗や事務所など事業所などから出る産業廃棄物のみを運べる許可です。家庭から出るごみの運搬や処理は、この許可があっても行えません。
古物商許可 古物の売買ができる許可です。ごみの運搬や処分ができる許可ではありません。
遺品整理士 一般社団法人「遺品整理士認定協会」が認定する民間資格で、ごみの運搬や処分はできません。
一般廃棄物収集運搬業者と提携 実際には提携しておらず、遺品整理をした業者がそのまま無許可でごみを運搬や処分をするケースがあります。
(参考: 広島市ウェブサイト『家庭ごみの処分に無許可の回収業者を利用しないでください!』
神戸市ウェブサイト『そのごみ、運んでいいの?(収集運搬業の許可と排出者についてのはなし)』

  • 自治体が紹介している業者を使おう

    自治体が紹介している業者に依頼することで、無許可の業者を使うことによるトラブルは防げます。

    自治体の環境課などごみ収集の担当部署に問い合わせると、指定業者を紹介してもらえる場合があるほか、ウェブサイトで指定業者の一覧を公開しているところもあります。

    遠方に住む子供や孫が遺品整理をするケースでは、なおのこと自治体に直接問い合わせた方がいいでしょう。その地域の遺品整理業者について情報を得られない状態で選ぶと、悪質な業者に依頼してしまう可能性があります。


  • 無許可の業者に依頼するとどうなるの?

    無許可の業者に依頼した場合、回収した不用品が不法投棄されてしまう可能性があります。

    適切な方法で処理されない廃棄物は、環境破壊を引き起こし、火災の発生原因などにもなりますので、利用しないようにしましょう。

    無許可の業者は、廃品回収や「便利屋」などをうたったトラックで周回して音声案内をしたり、チラシのポスティングやインターネット広告などで集客をしていたりするケースがみられます。

②複数業者に見積を取る

複数の遺品整理業者に見積もりを取ることは、料金や契約に関するトラブル防止に繋がります。

複数の業者の料金を見比べることで相場観をつかめたり、サービス内容を比較検討したりすることができるほか、契約に関する説明や相談への対応なども、いくつかの業者を見て考えた方がいいでしょう。

③作業内容を明確にしておく

実際に作業に入る前に、具体的な作業内容を明確にしておきましょう。

気を付けたい主なポイントは下記の通りです。

・捨てられたら困るもの、貴重品、故人のものではない借り物などを分別
・戸建てや部屋の数が多い場合、清掃をする部屋はどこまでか
・不用品の整理のみか、賃貸の部屋などでは原状回復が必要か
・不用品の廃棄または買取の有無

作業当日も、捨てるものの区別と指示が明確にできる人が現場に立ち合うようにしておくと、紛失やミスによる廃棄を防げます。

④料金のめやす

遺品整理業者への依頼料は、部屋の広さや遺品の量、作業期間、人数、特殊清掃の有無などで変わります。

国民生活センターの資料では、遺品整理サービスの契約金額(契約購入金額)の平均は約42万円で、実際に支払った金額の平均は約30万円という統計結果がありますが、当然ながら、各依頼者の内容はさまざま。上記の条件が変われば金額はこの平均よりも変動します。

同資料での「支払い方法」は、現金等での一括払いが9割以上。クレジットカード等の支払いを受け付けている業者は少ない可能性があります。業者に依頼する際は、手元に現金で支払えるような状態にしておくのが望ましいかもしれません。

遺品整理の相場について詳しくは、こちらの記事で解説しています。


3.もしも騙されてしまったら?対処法と相談先はこの3つ



押し買いや法外な料金の請求などにあった場合は、被害に応じて適切な相談先にアドバイスを求めましょう。

また、場合によってはクーリング・オフで被害を取り戻せます。被害を受けたときの対処法や解決方法を詳しくみていきましょう。

①訪問購入はクーリング・オフが可能

訪問販売・購入(押し買い)に関しては、「クーリング・オフ」制度の対象です。

クーリング・オフは、商品やサービスの契約や購入から一定期間内であれば、消費者側から無条件かつ一方的に、解除や撤回をすることができる制度です。

訪問販売・購入の場合は、法律で定められた契約書面を受け取った日を含めて8日以内に、クーリング・オフする旨を書面で業者に伝えましょう。書面を送ったことを証明できるように、内容証明郵便や特定記録郵便、書留で郵送してください。

クーリング・オフの手続きや期間について詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

②国民生活センターに相談する

消費生活におけるトラブルを解決するために、消費者へアドバイスをしたり、必要に応じて専門家を紹介したりする機関です。直接業者にかけ合ったり、仲裁をしたりすることもあります。

同センターが設置している「消費者ホットライン」で、各地の自治体の消費生活センターの相談窓口に電話がつながります。繋がらない場合は、平日に限り、同センターがバックアップ相談を受け付けています。

電話番号:188(繋がらない場合は平日バックアップ・03-3446-1623)
受付時間:平日9:00~17:00、土日祝10:00~16:00(窓口によって異なる)
休業日:12月29日~1月3日

③弁護士に相談する

国民生活センターに相談しても解決できなかった場合は、弁護士を頼りましょう。 日本弁護士連合会(日弁連) のサイトから相談する弁護士を探すのが便利です。

詐欺被害にあったと思われる経緯や証拠があれば、相談前に準備をしておくとスムーズです。業者との契約内容や費用の支払いなどがわかるものがあれば、保管しておいてください。相談時に費用がかかることがあるので、あらかじめ問い合わせておくといいでしょう。

遺品整理では、家族間での相続による金銭的な処理など様々な問題が発生することがあります。詐欺によるトラブル以外でも、なにかあれば早めに弁護士へ相談するといいでしょう。

弁護士の費用については、こちらの記事を参照ください。


4.まとめ

  • 押し買いや高額な追加費用の請求など、悪質な遺品整理業者がいることがあります。

  • 自治体が紹介する遺品整理業者に依頼することで、トラブルを未然に防げる可能性が高まります。

  • トラブルになったときは、国民生活センターや弁護士に相談しましょう。

おわりに

大切な人の遺品を整理するのは、家族にとっても大きな負担になることがあります。
その中でトラブルが発生するのは、心理的にもつらいもの。少なくない遺品がある場合もありますから、なるべくスムーズに作業を終えられるようにしたいところです。

万が一トラブルが起きた際には、速やかに専門機関に相談してください。

【ほかの法的トラブルに役立つコラム一覧を見る】

【詐欺に関する訴訟プロジェクト一覧を見る】


このエントリーをはてなブックマークに追加