これは退職代行詐欺…?ありがちなトラブル3パターンと解決策を解説

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投稿日時 2019年06月12日 15時27分
更新日時 2019年06月12日 15時27分

この記事は以下の人に向けて書いています。

  • 退職代行でよくある詐欺のパターンを知りたい人

  • 依頼した退職代行業者が詐欺かもしれないと思っている人

  • トラブルが起きたときの相談先を教えてほしい人

はじめに

退職代行とは、本人に代わって「辞めたい」意思を勤務先に伝えてくれるサービスです。

勤務先との煩わしいやり取りを業者に依頼して退職できることから人気を集め、業者の数も着々と増加。しかし同時にトラブルも増えており、中には「お金を払ったのに退職できなかった」「話を聞いてもらえなかった」など、詐欺に近いケースもちらほら出てきています。

そのような状況から、2019年3月にはサービス利用者を保護するために、退職代行業者の業界団体「日本退職代行協会」も発足しています。

この記事では、退職代行を利用した詐欺被害にはどんなものがあるのか詳しく解説。あわせて困ったときの相談先や自分の身を守るための対策もご紹介しています。

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1.こんな業者に要注意!退職代行にありがちなトラブル3パターン



まずは、退職代行でありがちなトラブルについてご紹介します。

ありがちなパターンは大きく分けて3つ。順に見ていきましょう。

①対応に関するトラブル

  • 無料相談時の対応が適当

    退職代行業者のほとんどは無料の相談受付を行っていて、気軽に相談できるようになっています。

    しかし中には「親身に応対します」と宣伝しながら、実際は話をあまり聞かないような業者があるのも実状。後に「言った」「言っていない」の水掛け論に発展するケースもゼロではありません。

    こちらの質問に対して「100%退職できる方法があるから安心してほしい」など、方法を説明せず、はっきりとした答えを出さない業者も後にトラブルとなりやすい傾向にあります。


  • 嘘の退職理由を言う

    退職業者が、勤務先に嘘の退職理由を言ったことでトラブルが起きることもあります。

    例えば、本当はあっていない交通事故を理由に辞めたら、退職1週間後に元同僚に元気な姿を見られて面倒なことになった……といったケースです。

    ほかにも「親の介護」や「引っ越し」などと勝手に嘘をつかれてしまい、転職活動がしづらくなったなどもあげられるでしょう。


  • 連絡が急に途絶える

    業者からの連絡が急に途絶えてしまった……というトラブルもありがちです。

    よくあるのが、「利用者は退職手続き完了までサポートしてもらえると思っていたのに、業者がしたのは勤務先に電話連絡を1本入れただけ」といったパターン。認識していたサービスの範囲に違いがあり、気づいたらサービスが終了していたために連絡が来なくなったというものです。

②料金に関するトラブル

  • 入金後に連絡が取れない

    退職代行業者の多くは、利用者からの料金未払いを防ぐために先払いシステムとなっていますが、入金したあとに連絡が来ないなど、業者の対応でトラブルが起きることもあります。すぐに連絡が来ないのは業者のミスの可能性もありますので、入金後に不安があったら、問い合わせて確認しましょう。


  • 法外な追加料金の請求

    格安料金の業者に依頼したら後になって法外な金額を請求された、というのも比較的見られるトラブルです。

    ほかの業者よりお得なことに惹かれて依頼したところ、実は安いのは基本料金のみ。しかもその基本料金だけでは実質退職できないようなサービス(例:電話を1回まで)しかなく、後に様々なオプションがついて高額になった、というパターンです。

③法律に関するトラブル

退職代行業者ならではのトラブルとして、「退職代行業者の行為が、非弁行為(弁護士法違反)にあたるのではないか」というものがあります。

非弁行為とは、弁護士資格がない者が報酬をもらった上で法律業務を含む交渉をすること。

例えば、

「退職日はいつがいいか」
「未払いの残業代は出してくれるのか」

以上のような交渉を退職代行業者がしたとき、非弁行為にあたるためNGとなります。基本的に業者は、利用者の勤務先と直接やり取りをする人が弁護士資格を持っていない限り、本人の「辞めたい意思」を伝える代わりしかできないとされています。

ただ実際は「有休の消化についても話しておきますよ」と進んで交渉を持ちかけてくる業者や、弁護士と提携していると言いつつ自分たちで交渉をしている業者などもいます。

もし勤務先が退職代行業者の非弁行為に気づいた場合、利用者にもなんらかの不利益が発生する可能性があります。退職代行業者が台頭してきている背景上、対策を取っている企業も出てきているとみていいでしょう。

例えば、退職代行業者に依頼した際、詐欺まがいのやり方で勤務先に粗雑な対応をされてしまうと、スムーズな退職をできないばかりか、勤務先に損害を与えるような辞め方になってしまう可能性があります。

このような場合、一概には言えませんが、損害賠償を請求されるリスクが発生する恐れもあります。

いずれにしても退職代行業者を依頼するときに、注意したいトラブルのひとつです。


2.詐欺にあったかもしれない……そのとき必要な相談先3つ



「必要な金額を支払ったのに、事前の説明とは違う」
「もしかして詐欺なのでは……?」

退職業者に対し、このように思ったときに必要な相談先をご紹介するので、被害が大きくならないようにするための参考としてください。

①証拠を集めよう

業者の行為を詐欺とみなすためには、証拠が不可欠となります。以下のものを集めましょう。

・業者とのやり取りがわかるメール
・電話などの録音データ
・「特定商取引法に基づく表記」のスクリーンショット
・料金プランやサービス内容などがわかる資料

このほか、退職代行業者に関わるものはすべてとっておくようにしましょう。

またSNSやインターネットで業者の情報を集めるのも有効です。集団訴訟プラットフォーム「enjin」のツイッターでも、詐欺業者に関する情報を発信しているのでチェックしてみてください。

②困ったらすぐに相談

退職代行業者とのトラブルは勤務先にも関わることが多く、ひとりではどうにもできないことが多くあります。

証拠をそろえたら、次の連絡先に相談してみましょう。

  • 国民生活センター

    消費に関するトラブルについて、専門知識を持っている相談員が解決のためのアドバイスやサポートをしてくれる公的な窓口です。下記の「消費者ホットライン」に電話をしてみましょう。自分が住む地域の消費生活センターを紹介してくれます。

    電話番号 188(いやや)
    受付時間 地域による

    もし繋がらない場合は、国民生活センターの平日バックアップ相談にかけてみましょう。

    電話番号 03-3446-1623
    受付時間 平日10~12時 13~16時


  • 警察相談専用電話

    生活全般のトラブルを幅広く受け付けている警察の窓口です。110番と違い、まだ犯罪なのか断定できない場合でも気軽に相談できます。

    110番が安全相談で埋まってしまい、緊急時に対応できなくなるのを防ぐ狙いもありますので、相談は「#9110」を利用しましょう。

    下記の連絡先に電話すると、最寄りの警察署に直接繋いでくれます。

    電話番号 #9110
    受付時間 平日8時30分~17時15分(各都道府県警察本部で異なります)


  • 弁護士

    退職代行業者とのトラブルで、返金などの交渉が難航してしまう場合は、弁護士を頼りましょう。

    ただし依頼する際は前払いの料金である着手金や、業者から返金されたときに報酬金などが発生し、取り戻したいお金よりも弁護士費用が上回る可能性があります。

    慌てて依頼をせず、まずは料金についてどのくらいかかるのか事前に問い合わせてみてください。

    下記では、弁護士費用を安く抑えるための方法や、訴訟を検討したときに利用したいほかの制度について詳しくご紹介しています。
    また、集団訴訟のプラットフォームの「enjin」では、詐欺や悪質業者の返金請求に関する声も集まっています。

    同じような被害のケースがないか、探してみてもよいかもしれません。


3.依頼を失敗しないためには?トラブル回避の有効策



退職代行業者とトラブルが起きてしまうと、「やっと辞められる」と安堵している分ダメージが大きいものでしょう。

そこで最後の章では、トラブルに巻き込まれないための事前対策をご紹介します。

①会社の情報を確認する

退職代行業者のウェブサイトに、会社や運営者情報などが掲載されているか確認してください。

記載があったからと言って、そのまま信じ込むのは禁物。運営者や会社は実在するのか、会社の所在地は正式なものなのかまでチェックしましょう。

弁護士とうたう人物がいるならそちらも忘れずに。日本弁護士連合会(日弁連)のサイトで検索すれば、登録のある弁護士かどうかすぐに確認できます。

なお日本退職代行協会では、利用者からの苦情・相談の件数が多い業者を随時報告しています。 こちらも見ておくといいでしょう。

②事前に問い合わせる

正式に依頼する前に、料金プランなどを問い合わせることも大切です。

特に「どの料金でどこまでやってくれるのか」というサービスの範囲については念入りに確認してください。トラブル防止に、書面で残る見積を求めるのもいいでしょう。法に触れる範囲に踏み込んでいるかどうかも同時に確認できますし、出し渋るようなら依頼を見合わせた方がいいかもしれません。

また、問い合わせるときは応対が丁寧かも見るようにしましょう。聞いたことにすぐ答えない、冷たい態度を取るなど粗雑な場合は依頼を避けたほうが無難です。

③弁護士への依頼も検討する

「未払いの残業代が多い」「有給休暇が相当な日数残っている」などの場合、弁護士に依頼すれば合わせて勤務先と交渉をしてもらうことができますし、法的トラブルの心配はありません。

「どうしても退職代行を使うことに踏み切れない」「後のトラブルは本当にないのか」を懸念するのであれば、最初から弁護士に依頼する方が、余分な出費や心配が少なくなるかもしれません。


4.まとめ

  • 退職代行でありがちなトラブルは大きく分けて「対応」「お金」「法律」の3つ。

  • 詐欺かもしれないと思ったらすぐに証拠集めを。被害拡大を防ぐために国民生活センターなどにすぐ相談。

  • 業者依頼で失敗しないために事前にチェックや問い合わせをしよう。

おわりに

退職代行サービスは、辞めたい人を助けてくれる便利なサービスです。

しかし利便性のあるサービスというのは詐欺のターゲットになりやすいもの。

少しでも疑問や違和感を覚えたら、その場で業者に確認したり専門機関に相談することを心がけましょう。

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